■ 理想のパソコン(HP200LX)
パーソナル・コンピュータという名前なので、個人で楽しむ為に使うことに限定して考えてみると、私の理想的なパソコンは、
ヒューレット・パッカード社のHP200LXということになります。
分類からすると、PDAです。 発売はもう一昔も前の代物。CPUは、80C186相当、クロックは、7.91MHzです。
(ギガではなく、メガですよ!)私は水晶を交換して、倍速で使用している。それでもたったの16MHzです。
メモリだって、ROM3MB、RAM2MBしかない。(RAMのもっとデカイのがあるが、買えなかった)
表示部は、バックライトなしの、モノクロ640x200ドット、いわゆるCGA互換です。
サイズは、16x8.6x2.54cm、重量は312g(単三電池二本含む)です。
外部記憶手段として、40MBのフラッシュメモリを使用しています。
昔は高価(最初の購入時はトータル15万円ほど)でしたが今となっては、そんなのが!と言われてしまうような代物です。
では、何故こんな非力なパソコンが今でも私にとって理想のパソコンなのかということを説明します。
1.電池の寿命
バックライト、カラーと言った余分な機能を排除し、低速のCPU、少ないメモリでPDAとして必要十分な機能をサポートして
います。 普通に使う分にはアルカリ電池二本で、1ヶ月ほど使えます。電車の中で、電池切れなんぞにならない。
連続使用でも、8時間くらいは持ちます。これなら新幹線の中でも十分使えます。
ACアダプタもありますが、アルカリ電池(2本、量販店で70円)で、これだけ持ってくれるなら満足です。
万一、電池切れになってもKIOSKで電池は買えます。この安心感は、今のノートブックにはありません。
小さいので胸のポケットに入れて、出張に安心して持っていけます。
2.使い易いPAD機能
スケジュール、データベース、メモ、電卓機能の使い易さはHPだけのことはあります。
各機能は自分の使い易さに合わせて、項目の追加や削除が容易に出来ます。
古い機種なのに、ソフトという意味での完成度の高さは最近のマシン以上だと思います。
他に標準で、表計算のロータス123が入っています。 Excelの表を移植できるので、仕事面での利用も可能です。
以前、葬儀の帳場を任された時に、その場で入力して合計を瞬時に出して、台帳の誤記や合計金額の確認などを行って
みて、便利だと実感しました。 脇では、必死に電卓を叩いて悩みまくっている人々がいましたが、我が陣営は皆涼しい顔で
受付をしていました。小計や合計がすぐに計算できます。追加や削除も容易に出来ます。
それにいくらなんでも、葬式で、カラー液晶のパソコンに金額を入力しながら金勘定を皆の見えるとこでやっていると、
お前らバカか! と言われそうですが、モノクロのコンパクトなパソコンなら、普通の人には電卓としか見えませんからね。
3.膨大なメモリ空間
数メガのメモリや数十メガの外部メモリしかありません。最近のWindowsを使っている人(私もですが、、)には、
たったの?と思える数値ですよね。
でも、この空間はメチャ大きいのです。1MB=1000000Bです。 フロッピ1枚に入るデータは、この程度です。
1秒間に10回キーボードを叩くとすると、1000000Bは、27.78時間分のデータということになります。
今や画像データが1枚1MBと言われても別に驚きませんが、文字(テキスト)だけのデータで1MBは驚くほど、
膨大な量なのです。
漢字は2バイトなので、400字詰めの原稿用紙に換算すると、1250頁になります。 (それも隙間なしでの場合の話です)
ワードの文章のファイルを見ると、文章は微々たるものなのに、平気で40KBもあります。
文章の体裁(文字の種類やサイズ、色、縦横情報、罫線、、、)など表には出ない膨大な情報が中に含まれているのです。
(もちろん単に空間の部分も多いのですがね)
パソコンを持ち歩いて、情報を知りたい時、文章の体裁は無用です。大事なのは中身です。
それを如何に高速で教えてくれるかが重要なのです。
容量は40MBですが、実際に使用しているのは23MBです。
少ないと思うかもしれないですが、中には英和、和英の辞書や時刻表、簡単な地図など膨大な情報が入っています。
趣味の世界では、百人一首、花言葉、周期律表、東京の地下鉄など、アフター5用のデータもふんだんに入っています。
今や携帯で問い合わせればすむ時代ですが、自分のDBを作る醍醐味はPDAならではの楽しみです。
4.マルチタスク
PDAの機能は貧弱ですが、マルチタスクで動作します。 え、Windowsだって出きるよ!と思いますよね。
確かに、Windowsで、ワードを開いて、エクセルを開いて、、、、と言った処理は出来ます。
でもそれを実際に行うと、データのスワップが生じて、待たされてイライラ!
これを打開するには、高価なメモリを増設して、、、となります。
200LXは、容量が小さいのにこの切り替えが早いのです。 もちろん大きなファイルを操作すれば遅くなってイライラする
こともあります。 でも大きなファイルを扱うことの方が間違いだと思います。
本当に必要なデータの量がそんなに大きなはずはありませんからね。
遅いCPUを使い、多用な処理ができるPDAは大したものだと思います。
例えば非力なマシンなのに、電話帳を開いて、スケジュールを確認しながら、思い付いたらデータベースを検索して、
メモをとるなんて事ができるのです。 今のディスクトップ機でもこれほどの事をやると、すいすいとは行きません。
いくらCPUの速度が上がっても、エクセルを開いてファイルを選択するのが早すぎて! と、言った状況にはなって
いませんからね。
また、リジューム機能も非常に便利です。パワーオフしたところから、パワーをオンして続きが入力できるのです。
(ノートブックでもこの機能があるものは存在します。)
操作していて、電話があっても心配はいりません。しばらくするとオートパワーオフで電源が切れます。省エネですね。
で、再びパワーを入れれば、OSの再起動を行わずに、パワーオフ前の処理が引き続きできるのです。
HDDにデータを退避させて、、、なんて動作はありません。
パワーオフ・オンですぐに使える。CPUの非力はこれで十分カバー出来ます。
5.PC互換機
本来この機種はIBMのPC互換機なのです。 昔のDOSという前近代的なソフトが走ります。
でも前近代的ですが、シンプルなゲームなどがあるので、それらを楽しむことが出来ます。
トランプやマージャンなどシンプルだからこそ、飽きないのかもしれませんね。
6.文庫本的使い方
テキストは膨大な量を入れておける。
最近フリーでダウンロード出来る小説などがあります。これを入れておき、旅先で読むのも面白いものです。
また、掲示板などのログも入れておいて、興味のあるところだけ読み飛ばすのも、便利です。不要なら消せば良いのです。
■ 理想ということ
とにかく、いつもそばにあっていつでも使える!これが重要です。
いくら高級、高速な機能があっても、見たい、入力したいと思うときに手元にない機種は理想のパソコンとはなりません。
HP200LXは登山に同行させ、途中の行程や感想をその場でメモし、山のデータベースで標高を調べたり、、、、
自由な発想に追従してくれるそんなパソコンです。
私が今使用しているのは2代目です。既に生産が中止された機種であり、後継機がないのが悩みの種です。
ずば抜けた能力がありながら、一般の人が使いこなすには癖のあるパソコンなので、普及が妨げられました。
(本当はWindowsに負けたのです。ロータスはこのOSを各社に売り込んだが、HPしか採用しなかった。
IBMがWindowを採用したので、そちらの路線にみんなが進んでしまいました。で、そのあとは皆さんご存知の通り!)
でも、一度マスターすると、これほど強力なパートナーはいないと思っています。
HPの製品って、専門家狙いの物が多いです。 プロには人気があっても、大衆はついて来ません。
|