■ 「弁護人 観天望気」
知人のSONYのパソコンが、買って1年半で電源とDVDとが壊れたことをご紹介しました。
普通なら、修理依頼して終わりですが、ちょっと頭の体操をしてみましょう。題して、「本当の犯人はどいつだ!」です。
では、犯人当てのはじまり、はじまり!
一般に故障というものは同時に2つは起きません。つまり、偶然に起こることは一つ!だということです。
これを業界では、「偶発故障」と呼んでいます。
でも、ある故障が引き金になり、二次破壊として、別の物を壊す可能性はあります。
だから、壊れた本当の原因(犯人)を特定することが、根本対策であり、将来の安心につながります。
ただ漠然と壊れたから修理したのでは、再度同じことが起こるかもしれないですからね。
では、パソコンの電源とDVDが壊れた場合、本当の犯人はどいつだ?をテーマにして、最近、日本テレビの「弁護人」が
面白い!ので、ちょっとシナリオを作ってみました。(2003年春で放送は終了してしまいました。)
裁判官:
容疑者、DVDの罪状認否の審議を開始します。
検事:
容疑者、DVDは買ってまだ1年半という短い期間で破損し、パソコンオーナーへ多大なる不信と修理費の要求という
犯罪行為を行ったことは、極めて悪質な行為であり、検察としては、DVDに器物破損罪を求刑いたします。
弁護人:
弁護人、観天望気はDVDの無罪を主張します。
検事:
国選弁護人!
弁護士:
観天望気です。
検事:
異議有り! 検察はメーカーに診断を依頼して、電源とDVDとが故障していることが、既に報告されております。
また、精密機械であるDVDが故障し易いのは、子供でも知っている常識です。
弁護人はつまらぬ屁理屈をこね、間違った結論を正当化しようとしています。
裁判官:
異議を却下します。弁護人、続けてください。
弁護人:
私はDVDの無実を立証するために、まず電源の性格について説明いたします。
一般に電源には、過電流検出の機能があり、自分を保護するように作られています。
異常な電流を検出すると、出力の電圧を低くして大きな電流が流れないようにしているのです。
で、不良の部品が外されたら、正常に復帰して動作するようになっています。
この働きを業界用語では、「フの字特性」と、呼んでいます。 フフフ、、、???
つまり、DVDには電源を壊す動機や恨み、更には電源側に影響を与え、破損させるというその手段まで現実には
存在しないのであります!
精密機械が壊れ易いという先入観から、故障部位を特定するのは非常に愚かな行為だと、思われます。
ここで弁護側は、容疑者DVDの友人である電源を喚問したいと思います。
弁護人:
電源さん、彼方はDVDの動きが近頃おかしかったと証言している。それに、間違いはありませんか?
電源:
ええ、間違いありません。最近、DVDは動作が変だったのです。
弁護士:
彼方は嘘を言っている! それは、彼方のせいで、DVDの動作がおかしかったのではないですか?
電源:
記憶にありません。
検事:
意義あり! 弁護人は憶測で電源へ責任を押し付けようとしているにすぎません。
裁判官:
意義を認めます。 弁護側は、電源の不利となる発言は慎むように!
弁護士:
以後、気をつけます。
ここで、2分間の休憩。(つまり、コマーシャルタイムです。)
弁護士:
皆さん、ちょっとここで、考えてみてください。電源が原因ならどうでしょう。
この場合には、電源が壊れているのですから、何が起きても不思議ではありません。本来、5Vのはずが、10Vになる
ことだってあり得ます。装置の中に入っているヒューズだって、切れるまでには時間がかかりますので、つながっている
装置を次々に壊したりするのです。壊れているのだから、電源の記憶だって、間違っていても不思議ではありません。
検事:
異議有り! 弁護人は憶測を言っているにすぎません。
裁判官:
異議を却下します。弁護人続けて!
弁護人:
さて皆さん、ここで実に興味深い二つの故障モードがあるのです。
まず1つ目は、装置、この場合DVDのことですが、それが電気回路が壊れて、ショートする場合! これは、ある意味
ラッキー!です。
一番弱い場所、つまりこの場合、被疑者であるDVDの事ですが、その弱い部分が、やられてしまいます。
それで抵抗値が小さくなって、死んでしまうのです。でもその段階で、破壊が終わる可能性があるのです。
もし仮に、電源の過電流検出機能が動作してくれれば、電圧が落ちてそれ以上の破損が止まります。
発煙、発火に至ることがなく、ひいては火事にならずにすみます。
(一般に、電源内に温度ヒューズなどが入っていて、そう簡単に火事にならないようになっています。)
2つ目、装置が壊れて、オープン(ヒューズが切れるようなもの)となる場合!これは最悪!のパターンです。
一番弱い場所の部品が燃えてオープンになると、次に弱い場所がやられます。
で、これを業界では、「二次破壊」と呼んでいるのです。こうなると、もう最悪!
で、最後には、ショートの場所が生じるまで、破壊が続きます。つまりこれは、沢山の装置を壊すので、ありがたくない
ケースです。
更に、弁護側はここで、パソコンのオーナがパソコンに触れた時、電源部が異常に熱い!と感じたという証言を得ている
ことを、状況証拠として提出いたします。
寒い今の時期に、本体が熱くなるほど電源は異常な状態になっていたのです。
以上のことから、今回の故障は、最初に電源が破損して、その結果として二次的にDVDが破損したと考えられます。
DVDがショートしてくれたおかげで、他の装置が助かったとしたら、、、フフフ???
つまり壊れた電源の攻撃から自分を犠牲にして、他の装置を守ったのだとしたら、、、
壊れたDVDは犯人などではなく、他の装置を破壊から救うべく勇気ある行動を取ったと言えるのではないでしょうか。
従って、パソコンの所有者は、壊れたDVDに恨みをいだくのは筋違いなことであり、本来は感謝の気持ちを持たないと
いけません。それが、人間としてあるべき本当の姿である!と私は考えます。
裁判官の厳正な審議をお願いしたいと、思うものであります。
以上で、弁護人、観天望気の弁を終わります。
裁判官:
DVDは無罪!、、、、電源はメーカーに送り返して、獄門張付け!。これにて、一件落着!
と、いう結果でこのお話しは終焉です。 最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。
■ まとめ
また「弁護人 Part.2」が始るのを期待しながら、ペンを置きます。
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