♪ 食い道楽 観天望気 presents 尾瀬で幕営しま専科 
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■ 江戸風「もりそば」を食らう

 江戸風の細麺を辛口のもり汁でいただく場合、それなりの楽しみ方があります。 基本は、自分が美味しいと思うか?ですけど。

 食べ物ですから、食べ方は自由が基本ですが、美味しいそばを食べるには、それなりの食べ方があります。
 「ずずっ」と音をたてながらいただいて、問題なしです。 ここは、日本ですから、、、じゃなくて、美味しく食べる為の方法なのです。

 最近はざるに盛られる場合も多いのですが、プロが盛るときにはそばをほぐして、箸で数本ずつつまめるようになっています。

 せいろに盛る! 基本は3段盛りです。
 1.せいろを持って手前に盛る。(前盛り) 2.奥に盛る。(中盛り) 3.中央に盛る。(後盛り)
 これは「普通の人は蕎麦を中央から食べはじめる」という行動パターンを分析した長年の経験に基づいています。

 水分があれば固まらないよ!という人がいるでしょうが、そんな水の滴るようなそばは香りがせず、美味しくありません。
 表面の水分が飛んで、表面がもっちりして、艶のあるそばが本物ですから!
 特に、「更級(さらしな)」そばの場合には、水を切って食べる! これが基本ってものです!

 まず数本のそばをつまんで何も付けずに食べてみます。 そば本来の味と香りをこれで味わいます。

 つぎに、もり汁を少し舐めてみます。 これで、汁の塩梅を知るのです。 どの位、そばに浸けるべきかここで判断します。

 なお、常連となったお店でこんなことをやったら失礼になります。 その店の味が一定でないから、疑っているように
 とられても仕方ない行動ですからね。 あくまでこれは馴染みでない店での行為ですから!

 一口ですすれる程度の少量を箸先でつまみ、もり汁につける。 このとき、普通3分の1くらいは、つけずにおきます。
 つまり、箸先を濡らさないのです。 もり汁の濃さに応じて、つける量を変えるのが正しいそばの食べ方です。

 この状態で「音をたてながらすする」と、そば自体の味と香りがした後に、つゆが追いかけて口中に広がるのです。

 って、云うかぁ、こうしないとそばは口に入っていきません。 箸で何度も口の中へとそばをかき込むことになります。
 なら、江戸風の細く切る意味はないのです。
 スパゲティなら、フォークで巻いて、お口の中へ!が理に適(かな)って、と同じ世界です!

 江戸の伝統的なつゆは、甘さを控えた味と香の立った辛口です。
 その強い味わいは、そば全体にジャブジャブとつけるのではなく、こうした食べ方でこそ十分に楽しめるのです。

 いつまでも口の中で噛んではいけません。 そばが長いまま、喉を通る。 この時、断面の四角いそばは喉に引っ掛ります。
 このざらつき感がそばの「喉越し」なのです。 つるつるしていて飲み込み易いことを云うのではありません。

 つるつるした方が好みならパスタのように丸い断面のそばが流行するのでしょうが、そばは四角い断面の角(ツノ)の
 ある方が、通好みの代物です。 まあ、この辺は好みの問題ですから、違う意見をお持ちの方もいることでしょう。

 飲み込んだ後に、そばの香りが鼻から抜けますが、これがそばを食べていると言う醍醐味なのです。
 

 そう、全ては美味しく食べると言う目的の為です。

 じゃぼ浸けのそばをもぐもぐ音を立てずに食べても、香りもしないし、美味しくはありません。 と、私は思っています。
 じゃぼ浸け、もぐもぐ派の方が「そうじゃない! 観天望気は味覚が変だ!」と思うのも自由ですから!

 薬味を用いる場合は、ねぎならば2〜3枚をつゆに浮かべるだけで十分に味の変化が楽しめますし、山葵は刺身を
 食べるように、つゆに浸けない部分のそばに付けていただくのが最近の流行です。 
 つゆを汚さないことで、最後までつゆ自体の味を楽しむことができるので、理屈にあった方法だと思います。

 そばは「延びる」のが早いので、さっさと食べましょう。 この時、麺の長さが伸びる訳ではありません。
 延びて「コシ」がなくなるのです。 せっかくの美味しいおそばですから、ベストな条件で食べるように致しましょう。

 最後に"そば湯"でつゆを伸ばしていただくときに、残った薬味で味を調えます。

 良いつゆは、そば湯で伸ばしても、十分においしく頂けます。 これは、つゆの良し悪しの見分け方として、誰でも判る方法です。
 水っぽくなったり、甘みだけが残るもり汁は良くありません。 和風だしのスープのようにのびるのが本物のもり汁です。
  

■ まとめ

 夏目漱石の「我輩は猫である」の中で迷亭先生が、そばの食べ方を講義する件(くだり)があります。
 講義なんぞといぅと、野暮だよ! と、感じますが、実際に食べてみると、わかる世界です。

 食べるということは歴史があるので、それなりの流儀が確立しています。 全ては美味しくいただくためなのですけれどね。

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