♪ そば用語解説 (観天望気風 蕎麦版悪魔の辞典!) 観天望気 presents 尾瀬で幕営しま専科 
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■ 平成版そば用語集:蕎麦辞典  (観天望気風 蕎麦版悪魔の辞典!)         

 その昔、アンブローズ・ ビアス氏が書いた「悪魔の辞典」。 そんなのがあったのを知る人は、今はほとんどいないだろうなぁ。
 ここではビアス氏と同様な気分で、「そば用語集」なるものを作ってみました。

 お急ぎの貴兄へ! ここからバシルーラ!で飛べます! あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

 蕎麦=歴史=江戸時代=素朴=庶民の食べ物=夜鳴き蕎麦=安直=安価=十六文=二八=本当に二八は美味いのか?
 大阪で発祥したのに、江戸で華開いた「そば」とは何者なのか? 米や麦などの穀物が不作の時の救荒作物として江戸っ子を飢えから
 救っただけとは思えないほどの人気があります。 江戸時代の人々は生活の知恵から、動脈硬化を防ぐヘルシーな食品であることを
 ちゃんと生活の知恵として知っていたのでしょう。  いろいろと悩みはつきない!

 木鉢(こね)を行う木鉢(きはち)??などの道具類を学校では教えてくれなかったからなぁ。
 はた又、水ソバが、美味いの究極??? そんな感性が理解できない未熟な私です!
 もちろん、そんな未熟な私が勝手に作ったそば用語集ですから、何か変だ!訳がわからん!間違ってるよ!ってな解説です。

あ行  か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

秋新 (あきしん)

 秋に収穫される新そばのことです。 普通は、秋そばと呼ばれることのほうが多いですが、まあお好きに!

 そうです、ただ言葉を省略しただけのことで、別にどーってことない言い方です。

 でもねぇ 晩秋の頃「新そばありマス」の張り紙をみると、生唾を飲んでしまいます。 そうなるのは私だけ?

 言葉には不思議な力(ちから)があります。 「新そば」の字には特にそのパワーがみなぎっているのです。

 とはいえ、秋にとれた蕎麦に冬を越させた方が成熟され美味しさが生まれるなんていう意見もあります。

 まあ、そばの世界は皆が薀蓄を持っているし、自分で満足するものを見つけりゃ良いじゃん! そんな世界です。

秋蕎麦 (あきそば)

 蕎麦には夏と秋に採れる種類があります。 味、香り、色あいにおいて、優れているのは秋蕎麦だと世間では言われています。

 この原因は蕎麦も植物ですから、寒くなる季節に霜に当たる危険を感じると、子孫を残す為に立派な実を充実させよう
 とするからではないか! と、勝手に想像しています。

 8月に蒔いた種から10月末には収穫出来るのですから、蕎麦は成長が早い!って、言うかぁ! 老化が早いのかなぁ。
 まあ、そんなことはともかく、秋蕎麦の時期になると、胸の鼓動が早くなる私なのです。

 え、「秋蕎麦」とは何か?の解説になってない! そうなのです! そう思う貴方は正しい!
 ですから、もっとまともなサイトに行くべきです! ここには、貴方が求める答えはたぶんありませんから!

敦盛 (あつもり)

 苑で上がった蕎麦をいったん水で締めて、再び熱湯に通して温めた、いわゆる手間のかかった「温かい蕎麦」です。

 打ち粉の付いたそばを茹でて、、茹で上がりの蕎麦の表面から滑(ぬめ)りを洗い流す。

 その時、蕎麦の表面が冷水に触れて、「きゅっ」と引き締まるのです。 こうして、茹でた蕎麦が完成します。
 その後をどうするかは、好みにより分かれます。 そんな一つのバリエーションが「あつもり」なのです。

 ですから、溶き玉子が入った熱いつけ汁でいただくバージョンもあり!!!の世界です。

 最近は、釜揚げそばのようにそば湯の中にいれてあるものなど、色々な変形バージョンもあります。

 温めた方がそば本来の風味(甘みや香り)を味わうことが出来るという意見がありますが、私もその通りだと思います。
 蕎麦掻きだって、温かいから風味を味わえるのです。 冷たい蕎麦から、蕎麦の風味がプンプンしたら変でしょ!

 冷やされたり、温められたり、、、問題はそれに耐えてなお蕎麦のこしを出せる作りてのスキルがあるかと云う事です。

 でも、一番肝心なのは、その拘(こだわ)りのある蕎麦が出てきたときに、それを美味いと感じる感性が食べる側に
 あるか?ということなのです。

甘皮 (あまかわ)

 蕎麦(そば)の実から硬い殻を取り除いた丸抜き(ヌキ)の状態で、表面を覆っている皮のことです。

 けっこう灰汁(あく)があり、食べるとちょっと渋いのに「あまかわ」とはこれ如何に!

 見た目はちょっと、緑色や茶色など様々な色をしています。

 大子町にある「もみじ苑」さんでは、甘皮のカラー選別を行い「緑のそば」なるお蕎麦がメニューにあるくらいですからねぇ。
 多分、、、甘皮の色とそれから出来るそば粉の味との間には、何らかの因果関係があるのでしょう。

 でも、新そば=緑の甘皮という方程式が完璧ではないので、話が複雑なのです。
 古くても、割って緑の甘皮をしている蕎麦の実もあるし、新そばでも茶色っぽいものもあります。
 まあ、この先は「統計学」を導入しないと、論議が出来ない世界です。

 甘皮は私の自慢の石臼で挽いても、きめ細かくはなりませんので、篩で篩うと簡単に除去できます。
 でも、植物繊維ですから、篩なんか使わない挽きぐるみで、その全てを食べた方が健康には良いと思います。
 そうすれば「キャベツ、お代わり!」なんて云わずにすみます。

甘汁 (あまじる) ⇔辛汁

 「かけ」や「種もの」にかけるつゆのことです。 「かけ汁」とも言います。

 まあ、お店のノウハウというか、材料のコストパフォーマンスが問われる奴ですねぇ。
 だって、材料にはピンからきりまでいろいろありますから、、、 

 かえしと出汁(ダシ、、、でも二番で十分美味しい!)の相性を楽しむ世界です。
 問題はインスタントではない、その違いを味わう味覚を食べる方が持っているか?ということなのです。

 飲んだときに美味しいとのインパクトを強めるために、使われる節には値がはり手間のかかった本枯節(ほんかれぶし)や
 そうだ枯節、さば枯節などの拘り(こだわり)により様々なバリエーションがあります。

 マイルドな美味しさと香りが命の甘汁ですから、嗅覚と味覚を研ぎ澄まして正面から向かい合いましょう。

 そのときには、テッシュペーパーが必須です。 湯気でついつい、鼻水が出そうになるから、、、
 香りを楽しむ大人のマナーは守らないとね!

アミノ酸

 タンパク質を構成する基礎物質で約20種類あります。 奴らは、人間が勝手にですか、こう呼んでます。

 アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン
 イソロイシン、ロイシン、リシン or リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン or トレオニン
 トリプトファン、チロシン or タイロシン、バリン なんてね。

 これらを全部覚える必要はないし、覚えても腹の足しにもなりません。 でも、とても働き者なのですよ。

 運動して壊れたタンパク質を早く回復させるには、良質のアミノ酸を摂取する必要があります。
 ですから最近は運動をする前に、アミノバイタルを飲むと、効果的! これ、山での常識!なのです。

 判りやすい解説!
 運動して身体に負担をかけ筋肉繊維が壊れると、「筋肉痛」になります。
 若い頃は、翌日に痛くなるのですが、歳を取ると、、、痛いのか?どうかも忘れます。

 運動して一日後に痛くなるのは、まだまだ青二才!
 最近、私は「燧ケ岳」に登っても、筋肉痛になりませんから! もうかなり、末期的症状のようです。

 筋肉や爪、髪の毛もタンパク質で出来ていますので、食べるっていうことの原点がここにあります。
 無くなったものは食べて補うしかないですからね。 

 幸いなるかな「そば」の中には、体にとって良質の必須タンパク質が小麦粉より多く入っています。
 うどんより蕎麦を食べる方が体の保全に効果的!ってことです。

 尾瀬の帰り道、桧枝岐で「裁ちそば」をたぐりたくなるのは、脳より体が欲しているからなのかもしれません。

アミノ酸 Part2

 これだ! え、何がって、、、これですよ! 人間に必要な必須アミノ酸とは?

 必須アミノ酸とは、その動物(ここでは人間)の体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならないアミノ酸のことです。
 必要アミノ酸、不可欠アミノ酸とも言います。

 人(ヒト)では、一般に次の9種類が必須アミノ酸です。

 トリプトファン、リシン(リジン) 、メチオニン、フェニルアラニン 、トレオニン 、バリン 、ロイシン 、イソロイシン 、
 ヒスチジン (こやつは長い間乳幼児期のみ必要とされていましたが、現在は成人も必須とされています。)

 そば粉の中には、特にトリプトファン、リシン(リジン) が豊富に含まれています。 だから、体が欲するのね!

粗挽き(あらびき)

 普通よりそばの粒度を大きくした石臼挽きのそば粉のこと。

 でもねえ、石臼で均一に粗く挽くなんてことはできません。
 だから正しくは粒度分布の裾野を広げて、粗い粉から微粉末まで色々混じった粉ということになります。

 玄そばを石臼で挽くときにその隙間をちょっと広くすると粗挽きになります。
 柔らかな抜きでも、入れるそば実の量を多くすると、石臼が持ち上がるので、粗くなってしまいます。

 何だか粗挽きが悪いことのような紹介になっていますが、それが大反対なのです。

 バラツキによって蕎麦の香りや甘みが濃密になるのですが、、、この力強さが粗挽きにする魅力なのです。

 私の場合、My石臼のオーナーですから、そんな粉を容易に作れる環境にあります。

 そんな粗挽きの蕎麦粉で作る究極のそばがき、、、それを作るために石臼を買った私って、、、
 (買った今では、もう昔話的思い出ですけどね)

 「なめらかな喉越しが一番」という人には縁のない代物ですが、ざらつき感のある香り豊かな蕎麦が好きな人には
 好きな蕎麦ってことになります。

 普通のそば粉(ロール挽き)に粗挽きのそば粉(石臼挽き)を少し入れて打つと、喉こしの良い、香り豊かなそばができます。
 このブレンドができるのが石臼挽きの自家製粉のお蕎麦屋さんの強みです。

霰蕎麦 (あられそば)

 青柳(ばか貝)の貝柱をそばの上にトッピングした温かい「かけ蕎麦」です。

 見た目の美しさ! 想像してみてください!
 黒い海苔の上に白い貝柱が散らばっている様といったら、「蕎麦の小宇宙」を見るような感性に襲われます。

 江戸時代からある一品ですが、、、、恐るべき江戸の感性! それを、想像できる貴方!はGOOD!です。
 できない貴方は、、、どこかの店で注文してみましょう! それで、ここでの疑問は解決しますから!

蟻巣石 (ありすいし)

 山梨県地方で採れる多孔質の石で、放熱効果に優れ、蕎麦挽き用石材として、「最高!」と、されています。

 まあこんな高価なものを買ったら、私のように一人分の「蕎麦掻(そばがき)」の為のそば粉しか挽かない者には、
 「豚に真珠」ってことになります。

 私の石臼は中国産の大理石で、多孔質ではありません。 ですが幸いなるかな、私が自分で挽くので休み休みです。
 ですから、放熱効果を石材に要求しなくても、十分にいい粉が挽けますから!  斬り!  って、、、、意味が判らんぞ!
 (最近、観天望気は多重人格なのです。 これを書いている間にも、いろんな人格が出てきて、困ったものです。 私はN氏)

粋 (いき)

 江戸は粋が好まれた時代でした。 蕎麦を食べることにでも、粋が求められたのです。
 なら、蕎麦に関することが粋の最重要な要求事項か?というと、、、???なのです。

 何が粋なの?と悩むより、普段の立ち振る舞いの結果が粋ならこんな素敵な事はない! 

 ここから先は、私のような粋を知らない人のための「蕎麦食いのための知識の泉」です。 

 蕎麦食いに関する「粋」の1つ目、江戸では「うどん」は普段食べません。
 江戸では、「うどん」といえば「鍋焼きうどん」のことでして、これは風邪をひいた時に体を温めるために食べました。

 更に、粋の2つ目、腹いっぱいになるまで蕎麦を食うのは野暮です。 あくまで虫養いなのです! 
 この虫とは、疝気の虫の事です。
 え、疝気(せんき)=男の病気、が分からない? そういう人は古典落語を勉強するしかないですねぇ。

 で、粋の次なるは、、、、ここからは面倒なので一度に紹介しましょう!

 ・種物は邪道です。 「かけ」か「もり」を注文します。 天麩羅などは無粋の極みなのです。
 ・もりを手繰る時には蕎麦の先だけを汁に浸します。 
 ・口に入れたら、噛まずに飲みこむ。  ここで、咳をしてはいけません。 我慢する事を学びましょう!
 ・せいろやざるにたっぷりと蕎麦が盛っているのを期待するの野暮です。 
  大盛りを頼むより、量が少なければ二枚食べる行為の方が粋なのです。
 ・箸は割箸を尊しとします。 塗箸は好まれないことを、落語の世界から学びましょう。
 ・酒を飲むのでなければ、さっさと手繰(たぐ)ってひきあげることが粋とされました。
  ですから、注文してから出てくるまで時間がかかる店は論外。
 ・蕎麦は「手繰(たぐ)る」というのが一般的でした。
  自分の期待する本数のそばを挟む技ですから、手繰るという言葉がぴったりです。

 粋を地で行くのもなかなか難しいことですねぇ。 

石臼 (いしうす)

 石と石との間に米やそばなどを入れて、すりあわせて粉にする為の道具です。
 そのルーツは一万年以上前のエジプトだと言われています。 日本に伝わったのは、奈良時代ですが、一般に用いられるように
 なったのは、江戸時代の中期以降です。

 そんな石臼が我が家に普及したのは、平成になってからのことです。

 石臼は下臼と上臼とから構成されていますが、それ同士が触れ合うことはありません。
 わずかな隙間を保ちながら、回される上臼(反時計周りにまわされる)により、挽くという仕組みが成り立っています。

 二枚の窓ガラスの間に蕎麦の実を挟んで、窓ガラスをスライドさせても蕎麦の実は粉にはなりません。
 二枚のスリガラスの間なら、、、そのスリガラスがもっと凸凹(でこぼこ)していたら、、、蕎麦の実は次第に粉になり始めます。

 ですから石臼の表面にはそれなりに適当な凸凹が必要なんです!

 本来はその隙間の距離を微妙に調整して、挽くものに合わせ最良の状態に出来る優れものなのですが、My石臼では
 そんな面倒な事はやりません。 だって、蕎麦の実を粗(あら)めに挽いて蕎麦掻用のそば粉しか作らないので、いろんな
 種類の粉を挽く必要性がないのです。

 鉄腕ダッシュでも山から採れた岩から石臼を作る時代だから、、、自分の石臼を好みな奴にするのって、ありだと思います!

石臼挽き (いしうすびき)

 石臼を回転させて製粉することです。 
 ロール挽きに比べて、粉砕の力が小さいので発熱が少なく、密閉度が高いために水分が保たれるので、風味を損なうことなく、
 「挽きぐるみ」にすることができます。

 問題なのは、よく言われている摩擦熱ではなく、粉砕時に生じる粉砕熱です。
 (なんだ、そんなの習わなかったぞ!という人は文部省へ抗議しましょう! それか、粉砕に関する市民大学講座を受けましょう!)
 圧力がかかり、はじけ飛ぶ一瞬にミクロの世界ですが異常なほどの発熱が起こります。 これって、お茶が沸かせる位の温度です。

 ロール挽きの場合には、回転の速度が速いので一瞬にして、蕎麦の実が砕かれます。 発熱量は、回転速度の二乗に比例すると
 云われています。 ですから、科学の進歩した現在でも「粉焼け」のしにくい、石臼が珍重されているのです。

 一度火の入ったそば粉は、卵で例えるなら「ゆで卵」です。 こうなると、一瞬で「新鮮さ」からは程遠いって代物になってしまいます。
 三立て! 「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」の最初の段階で、瞬時に火が通ってしまうのですから、もうご愁傷様ってなものです。

 石臼の場合、そばを沢山入れると上臼が持ち上がり上手く挽けません。 これって、蕎麦の実に自然に無理な圧力がかからないように
 なっているのです。 適度な量のそばを適度な状態で挽く、、、そこには焼けていないそば粉があります。
 (って言うかぁ、My石臼にはそうあって欲しいと思います)

 品質を決めるのは、自分でやる石臼のドレッシングの技と、如何に自分の好みのそば粉に挽くかのためのノウハウです。
 My石臼を好みの一品に加工する、、、この楽しみは他人には任せられません。

板蕎麦 (いたそば) @山形県

 浅い箱状の器にちょっと太目の田舎蕎麦を盛られることからこの名がつきました。 村山市の「あらきそば」さんが有名です。 

 本当は板じゃない!!! でもね! これなら重ねる事ができるので、、、乾燥も防ぐ事が出来る、、、農村の知恵ですねぇ。

 玄蕎麦を挽きぐるみにしているので、蕎麦の風味と香りが強いそばです。 と、解説書には書いてありますが、風味ってどんなもの?
 香りは臭覚で感じることが出来ますが、、、風味は五感のどれで感じるべきなのかな? 

 味だから、味覚なのでしょうが、そば粉をなめた時の甘さは茹でられた蕎麦からは味わえない私なのです。

 ここで、こんな些細なことを書いている私ですが、板蕎麦を前にしてこんな屁理屈を考えていたわけではありません。
 美味しく食べるにはどうするべきか! それが全てです。 量が多いし、最後まで美味しく食べるには、、、そんなことを
 悩んでいたら、蕎麦が延びるし、、、まあ、正解はありませんから皆さんも訪問して、体験してみてください。 

板わさ (いたわさ)

 蒲鉾(かまぼこ)を切って、おろしわさびが付いた、、、蕎麦屋のつまみです。

 そば前に合う一品。 手軽に出来るので、客を待たせない! 
 でも、酒の御燗が完成するまではやっぱ待つしかないわなぁ。

一番粉

 荒挽きで、最初に砕け散る実の中心部の粉です。 色が白く、味と香りは淡いです。

 厳密には、「上割れ」を除いたものを、軽く挽いて最初に出たものが一番粉です。 内層粉ともいいます。
 これは色は白くでんぷん質が主体で、石臼挽きの場合少しホシ(砕けた殻の欠片)が入っています。

 すばらしい色や風味はありませんが、特有のほのかの甘味と香があります。 この味覚が判るかなぁ? いや、私にですけどね!
 しかし、蛋白質が少ないため粘りが少なく、そばを打つのにつながりにくいのです。

 さらしな粉とは製粉方法が違うのです。

田舎そば (いなかそば) ⇔ 江戸風そば

 そのルーツは殻のついた実を挽いたそば粉で打った色の黒いそばのことです。

 昔はそば殻の付いたままの玄そばを石臼で挽いて、篩うだけなので、黒いそば殻の粉が入ってしまい
 色の黒い、星のあるそばが食べられていました。 その後、抜きの技術が進歩したので最近は殻の無い「丸抜き」を製粉した
 「挽きぐるみ」を使うことが多いです。 と言うことで、最近は甘皮まで挽き込んだそば粉で打ったそばのこともこう呼ばれています。

 江戸風そばに比べて、太いそばを田舎そばと呼んでるお店も多いです。

 なぜ「田舎」という言葉が使われているのか意味が判りません。 江戸が「粋」だという幻想への戒め、皮肉かもしれません。

色物 (いろもの)

 色の白い更科粉を用いて打たれた変わり蕎麦のこと。 代表的な色物は5種類です。

 更科(さらしな)そば(白)、海老きり(赤)、茶そば(緑)、ごま切り(黒)、卵きり(黄)の五色。

打ち粉 (うちこ)

 玉になった蕎麦を延ばしたり、切ったりするときに、蕎麦同士がくっつかないように延す蕎麦の表面に振る粉のことです。

 「打ち粉」として売られており、花粉とも呼ばれます。 実の中心部分の粉でほとんどの成分はでんぷん質です。
 更科粉に比べると、粒子が若干粗いです。

 麺の表面に打ち込まれた打ち粉は、独特の食感を蕎麦に与えます。 そういう意味では非常に重要な代物です。
 加水し過ぎた蕎麦玉の水分の調整も出来るし、振り過ぎるとそば湯が早くどろどろになって、鍋の底で焦げ付いたり、
 色んな話題をもっている材料なのですが、、、これ以上ここで語っても無粋なだけですから、、、どろん!

打ち棒 (うちぼう)

 麺を打つ棒なので「麺棒」とも呼ばれています。 「延し」の作業なのに「麺打ち」とはこれ如何に?
 本来、蕎麦打ちの技術は1本の棒に麺帯を巻き付けて、打ち延す技術だったからだ と、される説があります。

 太い麺棒に巻きつけた蕎麦を板に転がしたり、持ち上げた後に台に打ち付けたりして、延す技を見たことがあります。
 その人は、打ち粉を蕎麦の表面に打ち込むのが喉越しのよい蕎麦を打つ秘訣さ!って、云ってました。 ほんまかいな?

 蕎麦の喉越し、、、である表面のざらつきはこの打ち込みがキーポイントなのかもね!

 素材として使われるのは、檜(ひのき)の他、松、朴(ほお)、ヒバ、イチイ(アララギ)、樫(かし)などがあります。

饂飩(うどん)三本蕎麦六本

 うどんは太いから一度に三本ぐらいづつ、蕎麦は細いから六本ぐらいづつ食べるのが丁度よい と、いう先達の教えです。

 そんなことを考えなくても自然と箸を捌くようじゃないと、食べることを楽しむ余裕は生まれないですね。

江戸打ち (えどうち)

 生地を四角く延していく蕎麦打ちの方法です。 江戸時代に狭い場所で効率よく、沢山の蕎麦を作る為に工夫されました。

 1本の麺棒と2本の巻き棒を使って、巻き棒に巻き取って長く延す技術はまさに職人技です。

 量が少なければ何も巻き取る必要はありません。 幅と奥行きの制限がある麺打ち台の上で、一度に沢山の蕎麦を処理するには
 巻き取るしか方法がなかったのです。 つまり、昔からある大量生産のノウハウって奴ですねぇ。

江戸風そば (えどふうそば)

 細く、喉越しのよい「そば」の総称です。 太く、黒っぽい田舎そばと、対になって使われることが多いです。

 ラーメンより、歴史の浅い「今時のそば」ですから、「江戸」にすがり付きたくなる気持ちは判ります。
 近代化の中で、大量生産に向いていない「そば」が負けて、一時期「ラーメンの時代」が来たのです。 そんな時代もありました。
 でも、今ではそれも昔! 再び、「そば」教信者が増え始めました。 回る、回るよ、時代は廻る〜♪

 「粋だ!粋だ!粋だ!」を吠えながら、皆でガンバろう!

 細い=技術力=喉越しの良さ=早飯!=江戸時代版ファーストフーズ=独身男の食べ物
 二八そば=屋台=手抜き料理、、、、そんな事はない!という人もいるでしょうが、私は江戸時代の人間ではないので無知なのです。

 まあ、好みの問題ですから、江戸より田舎の方が好きだと言う人も多いのも事実です。

 ただ言える事は、江戸風そばは細いので、延びるのが早いということです。 他のことにかまけてないで、供されたらさっさと
 食べましょう! これが、そば食いの真理ですから。

おかめそば

 器の中で「おかめの顔」に見えるように具を盛ったそばです。

 櫛形かまぼこ(2枚合わせて、おかめの顔を表しています)、鳴門(2枚で頬紅)、松茸(鼻)、焼麩(口)、ゆば(島田まげ)、
 筍(くし)、三つ葉の結んだもの(かんざし)など、いろいろ工夫があります。

 どんなアレンジで美人を演出するのか!その店のセンスが問われる一品です。 それは、確か!

おろしそば

 大根おろしたっぷりと添えて食べる、さっぱりとした味のせいろそばです。
 大根は布巾の上ですりおろし、布巾に包んで水にさらし、水気を絞ってつかいます。
 ですから、大根は少し辛みのある方が好きなひとは水にさらさず、かるく水気を切るだけでもOKです。

 高遠そばのように、大根の汁をもり汁に入れて食べる人もいるので、皆さんで1つの大根を無駄なく使う
 そんな楽しみ方ができる食べ方ってことですね。

か行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

返し (かえし)

 醤油に砂糖やみりんを加えて加熱し、素焼きの瓶に入れ冷暗所でしばらく成熟させた汁のことです。
 出汁(だし)で割って「もり」や「かけ」の汁として使う、そばつゆの原液です。

 砂糖を溶かすために醤油を温める「本がえし」と、醤油を温める!!!そんなことは風味を飛ばすので許さん!という人が愛する
 加熱しない「生がえし」とがあります。

 とはいえ、場合によっては生でも必要な分だけは加熱して、砂糖を溶かし込むのですけどね。

 どんな醤油や砂糖をブレンドするのか! かえし作りはとても重要なことです。

 ブレンドする種類が多いと揃えるためにお金がかかるし、なかなか品質が安定しません。
 同じ風味や味覚を持った種類の物を混ぜても無駄ですから、特徴のある尖った物を複数集めて、角を取って丸くしていくのが技です。
 職人としては少ない数の組み合わせの中から一番満足できるものを作るのです。 いやー、奥が深い世界ですねぇ。

 だからスーパーでは買えない「もり汁」が出来ます。 じゃないと、蕎麦屋の存在意義が無いじゃないですか!

香り (かおり)

 そばを食べるときに大切な要素の一つです。

 そばを嗅いでも、それほど匂いませんが、食べて飲み込むあとの鼻に抜けるかすかな芳香が「そばの香り」の楽しみ方です。
 冷たいそばから臭いがするなんてことは普通ありえません。 茹でる釜からは、良い匂いがしますけれどね。

 普通の人の知らない世界で、蕎麦打ちにおける「水回し」の時には「そばの香り」が鼻をつきます。
 初めて、そば粉と水とが合体するとき、えもいわれぬ良い香りがするのです!

 子供の頃、暑い夏に学校の校庭に夕立が降り始めて、、「ふっと香る土の匂い」 どこかそんなとこに通じる世界なのです。
 判るかなぁ。 この感覚。 きっと、皆さんも感じたことでしょう。 思い出してください、あの頃を!

かき揚げそば

 天ぷらの一種である「かき揚げ」をそばの上に盛り付け温かいかけ汁でいただきます。
 かき揚げはカラリとしているのが命です。 江戸時代には江戸前で獲れた芝海老を食べていたそうです。

 今のような車海老の天ぷらなんぞを食べているのは「粋」ではないっていうことだな!きっと。

かけ汁 (かけじる) ⇔ もり汁

 かけそば用のつゆで、「甘汁」ともいいます。 つけ汁を二番出汁(だし)などで薄め、吸い物としてしての美味しさもあります。

 で、かけ汁にはその先があるんだなぁ。 つまり、かけ汁にはかけそば用のかけ汁と、種もの用の種汁の2種類があるのです。
 一般的に種汁はかけ汁よりも味がやや薄めです。

 定量的な解説(基本的分量)
     つけ汁        = 本がえし1:だし汁3
 冷たいそば用のかけ汁 = 本がえし1:だし汁4〜5
 温かいそば用のかけ汁 = 本がえし1:だし汁6〜7

 分量はお好みですから、自分の好きな味を知るそれが大人のマナー!

 江戸時代にファーストフードとして広まったお蕎麦ですから、その製法はもう確立しています。
 最初に、「もり」から始まり、ついには「ぶっかけ」に至りましたから、レシピは江戸時代の文献を紐解けば書かれているはずです。 

 これを現在再現するには、江戸時代と同じ材料で同じ手間隙(てまひま)をかけた材料が揃うか?という問題です。
 醤油や鰹節など、微生物に頼る伝統的な製法で作られてきた品物には、昔の人の味覚に対する感性と知恵が詰まっています。
 こりゃ、「どっちの料理ショー」で紹介されたものを調べるのが、早そうな話題です。

かけそば

 軽くゆがいたそばを丼に盛り、温かいつゆを張ったそば(すそば)です。 醤油と鰹の香りが立つ一杯はとてもステキです。
 甘汁はお店の顔ですから、食べる方も真剣に向き合わないといけません。

 その汁に負けないそば、、、こりゃもう、自分の味覚が試される試練の場って、思っちゃいます。

 江戸打ちの細麺の方が汁の中で泳ぐ姿が美しいし、喉越しも良いので、田舎蕎麦よりは江戸風のお店が好きな私です。

風邪をひく

 蕎麦が風邪をひく、、、そんなことがあるのかって、、、あったんです。

 それって、蕎麦を延ばす行程において、蕎麦が乾燥することを云うのです。

 せっかく木鉢(こね)の行程で、均一に蕎麦粉に水を含ませても、延しで風邪をひかせたら、もうだいなしです。

 プロに対しては、そのくらい厳しい教えがあるけど、個人で楽しむなら、風邪をひいた蕎麦でも十分美味しくいただけます。

 だって、厚みが均一でなかったり、ひび割れにより長さが短くなるくらいだから、家族の愛情があればそんなマイナスポイントは
 容認されるに決まってます。 そう、思って日本のお父さんは、蕎麦打ちに励んでいるのです。

鰹節 (かつおぶし)

 カツオを材料にした節の総称です。

 大きさで本節・亀節に分かれ、製造方法で焙乾しただけの荒節、荒節にかび付けした枯節に分かれます。

 江戸風のだしのとり方の特徴は、厚削りの節だけで、しかも長時間煮つめて濃いだしをとることです。
 値段もピンキリですが、人間の食にたいする欲望もなかなか根性があるものです。

辛汁 (からじる) ⇔ 甘汁

 もりやせいろなどの冷たい蕎麦につける汁です。 この名は関東のお蕎麦屋さんで使われる用語です。 

 もり汁、、、は蕎麦食い(自称を含む)なら、自分の好みを持ってるでしょうから、これはお店との勝負というか、好きなお店と
 巡り合う修行の場におけるお店側が備えた武器ってことになりますねぇ。

 それを迎え討つのは、自分鍛え上げられた舌(味覚)と云うことになります。

 勝つには、敵の素性を知らないとね!

 敵(辛汁)は、かえしに負けない出汁(だし)の濃さを隠し持っています。
 出汁が薄いと、かえしの醤油っぽさが勝っていて、「辛いだけ」の辛汁になってます。 辛い=旨いではない世界があるのです。

 出汁の濃さが十分な奴は、食べていくうちに汁が薄まっても水っぽくならず、また、そば湯で割ったときにも美味しいのです。

 蕎麦の香りの邪魔をしないで、旨味があって、すっきりと切れのある辛汁、、、ソウイフモノニ ワタシハ アイタイ。

 いろいろ能書きを書いてきたけど、そろそろ解説もしなくてはね!

 辛汁とは、返しと出汁(だし)とを合わせてつくられます。 その配合は、、、秘伝書によると、返し1:出汁4です。

 何だ、簡単ジャン! そう思うでしょうが、、、返しと出汁を作るのは難しいのですよ。

 醤油や鰹節など様々なバリエーションの中から選ばれたもので作られた奴から、最後に配合するプロセスがシンプルなのは
 当たり前だのクラッカー! (これって今では、死語です)

 作ってから、3日ほど冷蔵庫で保管するとまろやかになります。 と、教科書に書いてあるけど、、、私はまだ確かめた
 ことがありません。 自分で作るより、プロの仕上げた辛汁で、十分満足できるからなぁ。

 とうやって作りかよりも、、、美味しい辛汁を出してくれるお店を沢山知っていることの方が人生の旅路を楽しめますからねぇ。

辛味大根

 大根おろしにして、薬味に使われます。 絞り汁が美味しいのですが、最近の物は水気が少ないです。

 ねずみとか赤口とか、その種類は10種類以上あります。 とはいえ、それがどんなかはネットの時代だから調べてね!

 私が一番好きなのは、「からいね赤」です。 こやつは、長さ10cmで鮮やかな紫紅色で極めて辛味の強い大根です。
 肉質は硬く水分が少ないので、もり汁が水っぽくなりません。 それに、皮からおろすと紫紅色で美しいおろしになります。

 これなら全国制覇も夢じゃない品種なのですが、残念ながら秋作専用です。 だから、春にはないけど、秋そばの季節には
 最強の奴なのは確か!

 でもね!こいつの良い所は貯蔵性が高く、長期保存が可能なことです。
 (適温を保って冷蔵保存すると収穫から半年以上の長期保存が可能であるって、その筋の方の間では囁かれてます))

枯節 (かれぶし)

 荒節にかび付けをした節です。 本枯節ともいい、乾燥とかび付けを繰り返すので値段も高いです。
 まろやかな味と香りに特徴があります。

 半年もかけて、更にはカビにまで手伝ってもらってカツオの水分を20%以下にまでします。 昔の人の食にかける情熱には
 感心させられます。 出来たものは、もうカビのはえないような保存食なのです。
 江戸時代前期、カビ付けの技法が考案されたそうですが、最初は間抜けな奴が失敗してカビを生やしたのでしょうね。
 じゃないと、貴重な「裸節」をカビさすなんてありえない! でも、生のうちにカビさせたら、腐ってしまうので、狙ったのかもね!

 背節 1本220g で1365円、腹節 1本190g で1155円、 本枯かつお厚削り 500g 1890円
 え、単なる私のメモです。 気にしないで下さい。 何しろここは私の雑記帳ですから。

瓦蕎麦 山口県のお蕎麦

 石州瓦で茶蕎麦、牛肉などを焼き、つけ汁で食べます。 川棚温泉の名物。
 具とレモン、もみじおろしをのせて、温かい汁で食べる、、、そんなそばです。

変わりそば

 一番粉に色を持った脇役を混ぜて打った色のある蕎麦です。 更科の系列では、見た目の遊び心をくすぐるのが好きなのです。
 この脇役として使われるのは、抹茶、笹粉、柚子(ゆず)、胡麻、芥子(けし)、菊、卵、海老、、、などなど。
 それで、表現される色のバリエーション!を楽しみます。

 一番粉は白くて透明感がありますから、遊び心で色を加えて楽しむのは粋の世界の楽しみ方として当然のことですねぇ。

 ところで先に紹介している、、、海老、、、などなど、の「などなど」、、、、って、何でしょうね!

 それはね! 麦の葉、枸杞(くこ)、甘草、、、などの漢方の世界。 そんな奴がそばに入っていて楽しめるのです。
 そんな世界を楽しみたければ、、、村屋東亭さんで!

寒晒し(かんざらし)そば (山形県寒河江市、天童市が本場です)

 秋に収穫したそばを、冬の冷たい清流に10日〜2週間ほどつけてアクを抜き、その後山間の寒い風と真冬の太陽光線に晒し
 乾燥させた玄そばを使用したものです。 通常のそばより、甘味のある喉ごしの良い蕎麦になると言われています。
 このような季節の経過と手間がかかりますので、食べ頃は4月ということになります。

 山奥の流れのある凍るほど冷たい水じゃないと駄目なんです。 春の小川で暖かいと、そばが芽を出します。
 発芽させないで、アクを抜けば美味しいそばが出来るのは容易に理解できますよね。
 寒中に川に入ってこのような作業をすることを思えば、それなりにこの蕎麦がお高いのは仕方ないことだと思います。

 福島県山都町で3月下旬に行われるのが、「山都寒晒しそば祭り」です。

 茨城でも、大子のような寒冷な地においては少しだけ行われています。 
 そんな情報より、寒晒しの甘さを感じることの出来る味覚、、、それを食べる方が持っているのか?が、問題なのですけどね!

生粉打ち (きこうち)

 そば粉100%で打つことです。 十割そば。

 「なまこうち」と読んだら、粋じゃないね!って、云われます。 なら、看板に振り仮名をふれよ!って言うのが今の時代です。

 必ずしも、十割が美味しいわけではありません。 それじゃあ、蕎麦掻になってしまう!なんてアホな意見を言う人もいます。

 蕎麦掻を引き合いに出して、十割そばを否定する。 そんな信じられないような発言が、本になって万人の知るところになっています。
 この意見は「グリーンふるさと振興機構」の事務局長 野上氏の言葉で、蕎麦打ち名人が選ぶ50店に掲載されています。

 必ずしも、十割が美味しいわけではありません。 この意見には私も賛成します。 翁だって、二八だし、それでも美味しかったです。

 おいおい、話題から外れてるよ、そう思う貴方は普通の感性を持ってます、、、
 そうですねぇ、ここは多重人格の観天望気の世界ですから、話題から外れてしまうのも仕方ないことなのです。

生蕎麦 (きそば)

 本来の意味は、つなぎをまったく使わない100%「そば粉」だけで打ったそば(生粉打ちそば)の事です。

 でも今ではそんな看板や暖簾を出している店が、本当に生粉打ちなのかちょっと悩ましい問題です。
 本来ならば、「生蕎麦」と名乗るからには十割じゃないとねぇ! でも、本当に大切なのは、生蕎麦の価値を見極めるだけの
 味覚を食べる方が持っているのか?ということですけどね。

 二八蕎麦に比べたったの二割そば粉が多いだけなのに価格が三割も高い「十割蕎麦」に算数の世界では成立しない一割(10%)の
 価値を見出せるのかは全て貴方の舌にかかっている世界です。 十割が無条件に美味い!という訳ではあまりませんからねぇ。

 解説:蕎麦粉の原価を100円として、十割蕎麦を打つ、、、で売価は1000円が相場です。 では次に、蕎麦粉を2割減らして、
 減らした量に相当する原価5円の小麦粉を加えて、二八で打つ、、、で売価は700円が相場です。
 蕎麦粉20円−小麦粉5円=材料費の違い15円なのに、そこに加わる技術料として、300円の価値を見出せるか? それが問題だ!

 お店の人に、「この蕎麦はそば粉十割ですか?」と聞いて、自分の味覚を確認するのも、そばを食べる楽しみ方だと思います。
 無礼者!と、言われるかもしれませんが、そんなお店にはもう行かなければ良いだけの事です。

 十割は打つのが難しいという意見もあるようですが、磐梯の「湯ごね」などの技もありますから、生蕎麦の看板を出すなら
 それなりの物を出して欲しいと思うのは私だけかなぁ?

きつね

 温かいぶっかけ蕎麦の上に甘めに煮た油揚げをトッピングしたもの。

 具の油揚げが狐の好物ということからついた名前のようだが、動物園で狐に餌として与えているのかは不明である。

 大阪で「きつね」を頼むと、うどんの上に油揚げが載って出てくるので、頼むときには注意しないとね!

木鉢 (きばち 又は きはち)

 こね鉢のことです。 そば打ちの工程で一番重要な行程であるこねる作業そのものを指す場合もあります。
 だから木鉢(こね)をおこなう木鉢(きはち)と読めるのが、大人の常識です。

 水を廻すと言うくらいですから、そば粉の中に均等に水をなじませるには、木鉢にはそれなりの大きさとそれを使う人には技が必要です。
 大気の湿度や粉の湿気を指先に感じる職人の感!で、粉体と水とを次第になじませていきます。

 セメントなど日本が得意としてきた粉体工学の世界がそこにはあります。

 エントロピーの世界ですから、熱と同様、、一度混じったものは、粉と水に戻すのはとても難しいことを体験出来ます。

 そば粉(1kg 約12食分)をこねる場合、直径50〜60cmのものが良いと言われています。
 深さや鉢のカーブは、混ぜたり、まとめる時に気になるポイントですから自分の好みをしっかり考えながら選びましょう。

 大きなものはとにかく高いです。 とは言え、道具ですから使ってナンボの代物です。 いくら高価な代物でも、使う回数さえ
 多ければ、ノープロブレム(問題なし)です。 私は蕎麦打ちをやらないので、その価値が判りませんけどね。
 樹脂や陶器製の物もありますが、木製の木鉢の方が何故か人気があります。 (見た目のカッコ良いのは私にも判りますけど!)

 で、ブナや栃の木などで作られています。 生木なら、水分を吸う事も考えられますが、漆塗りとなると水分は吸わないわなぁ。
 木の断熱効果を期待しているとも思えない。 そば粉と水で練るのですからね。 湯ごねの場合には意味があるかもね!

 こんな状況なら、安価なステンレスのボールを使って、全体として適当な重量を持つように加工すれば良いじゃんと思ってしまいます。
 確かに、重くて動かないことと、大きさは水回しの為には必要な要素だと思います。

 特に大きな木鉢の漆塗りの鮮やかな朱色は美的センスの粋を感じさせます。 でも、機能面で考えると、木が貴重な今の時代に
 素材としての価値に疑問を感じてしまいます。 何百年も生きてきた木を切っちゃったのですからねぇ。

 高価な物は20万円もします。 (もっと高価な物もある世界!ですけど、、)
 大切なのは万物に対して感謝の気持ちを持つことなのです。 道具が良ければ、美味しいお蕎麦が出来るわけではありません。

 「愛情をもって、美味しい蕎麦を子供に食べさせたい!」 そんな母親の愛を思えば、木鉢に拘(こだわ)ることの虚しさが理解できます。
 でも、ゴルフクラブ売り場に行くと、、、、え、話題が違っている、、、、そうですかねぇ、同じ範疇の話題ですよね!

切り (きり)

 延した生地を上下左右からたたみ、小間板をあてて包丁で切る作業のことです。

 一寸を23回で切り分けます。 切るタイミングは自分の好きに出来ますが、トントントンとリズミカルな不偏のリズムが大切です。
 プロの演技を見ていても、切り損ねると音が変わるので、「やったぁ」って直ぐに判ります。

 リズミカルな音は品質の確かな証です。 均一に切るのは、湯で時間のばらつきを無くして、美味しいお蕎麦をつくる基本です。
 とは言え、自分で作るなら太さのばらつきもご愛嬌! 失敗しても、自分が食べれば済むことですから。

切り板

 そば生地を切るときに使うまな板のことです。 そば切り包丁の寸法を考えて、切り板のサイズを選びましょう。
 33x70cm、厚さ2cm位で桐のものが1万円くらいで買えます。 サイズはともかく、厚さが3cmくらいあると鉋がかけられるので
 一生ものになるかも! 別に厚けりゃ良い訳ではなくて、トントンと包丁の刃が当たった時の弾力感のある音が大切なのです。

 実際にはそんあ大きな音はしないのですが、包丁の全面が切り板に密着しないと上手く切れません。
 その為には平面度が重要な一品です。 寄木細工で作られて、反りが少ない、、、、そんなのも有りの世界です。

切りべら ⇔ 延しべら(のしべら)

 延した麺帯の厚みよりも包丁で切る幅が細いことを指します。 普通は薄く延ばすのが難しいので、断面が縦長の麺に
 することをいう。 手早く延ばして、さっさと切って、細く見えるように振舞うには良い方法です。 でも、手抜きだと言う人もいます。

切りべら二十三本

 江戸時代から御定法とされていた並蕎麦の太さで、延した麺生地の一寸(3.03cm)幅を23本に切ることです。
 蕎麦1本当たりの切り幅は約1.3mmですが、今やこの程度に切るのは普通に出来るレベルです。

 細ければ良いと言うものでもないので、自分の好みとする食感から細さが決められるべきです。 私は、1.2mm派です。
 自分では打ちませんが、お店で食べ比べると自分の好みが判るようになります。 なにしろ自分の好みですからね。

 私の場合、この0.1mmの食感の差は同時に食べ比べないと判りません。
 ですから、「二色そば」のような食べ比べが出来るお店では、修行のためそれを頂く様にしています。

 つまり私は食に対する絶対食感?(音感)はもっていません。 何でも受け入れる寛大さを持っていると云うこと!

霧下蕎麦 (きりしたそば)

 朝霧の立つ、山間部には美味しい蕎麦が出来ることから「霧下蕎麦」という言葉が生まれました。

 そばの生育には高地の冷涼な気候が適しています。 昼夜の気温差が大きく、日当たりと水はけのよい畑で穫れたそばは
 昔から美味しいと云われてきました。 そんな条件を満足する場所として、標高500〜800メートルの高地で発生する朝霧は、
 夜の冷え込みと強力な太陽光により葉が焼けるのを防いでくれます。

 有名なのは、長野県信濃町柏原(黒姫高原)です。 日本科学技術大の上田教授によると、そばは黒姫に限る!と云うことです。
 学者先生様のおっしゃることですから、間違いはないと思います。 疑うなら、TRICKを見れば一件落着!

 他に茨城の金砂郷や福島の山都なども知られています。 知らない?人は、覚えてね!

くくり

 水回しのあと、そば粉全体をまとめていきます。 丹念にこねて、中の空気を追い出し、粘りを出す作業のことです。

 「へそ」や「角(つの)」と云った業界用語はやらない人には知らなくても良いことです。 「うんちく」にはなりますけどね。

車 (くるま)

 車海老のことです。 天ぷらそばには欠かせない一品です。 本数が2本だったり、サイズが大きいと幸せな気分になります。

 でも小さめでも、尻尾がかりっと揚がった奴は幸せな気分にしてくれるのです。 素材と料理人の粋を感じますからねぇ。

芥子切りそば (けしきりそば)

 そば粉に芥子の実を混ぜ込んで打った変わりそばです。

 芥子って、それなりの食感を楽しめます。 この味覚が判るかな? そんな一品なのですけれどね。

化粧水 (けしょうみず)

 洗い桶で洗ったそばに最後にかける水のことです。 最後に、氷水でキュッと〆て、口に入るものですから大切なのです。

 軟水or硬水 いずれを使うべきか? 拘るならミネラルウォーターを振りかけるのもありの世界です。

 冷蔵庫のなかった時代に、最後に冷たい水をかけるってことに愛を感じますねぇ。 

玄蕎麦 (げんそば)

 殻のついたままの「そばの実」のことです。 米ならモミの付いたままの状態です。 この状態なら、長期保存が出来ます。

 そばは米と比べて脱穀することが難しいのです。 外皮は硬いのに実の中は柔らかいので、上手く外皮を割る加工が困難でした。

 ですから、昔は石臼で挽いて、田舎蕎麦という色の濃い、星の入った蕎麦を食べていたのです。

 ところが、江戸ではそば殻を外して、丸抜きにする技術が確立されて、、、、

 これ以上は、しつこいと嫌われるのでこの辺で止めときます。

けんちん蕎麦 茨城県久慈郡の山村の名物

 白菜や野菜の中でもいわゆる根菜(ごぼう、にんじん、大根)、蒟蒻(こんにゃく)、豆腐をゴマ油で炒め、醤油か味噌仕立ての
 汁に仕上げます。 それをつけ汁にしたり、かけ蕎麦にしたお蕎麦です。

 それだけでも美味しいけんちん汁です。 それに蕎麦をつけて食べるって、まあ普通に美味しいです。

 残念ながら、ごま油の香りの汁につけた蕎麦を食べて、そばの香りを楽しむ味覚は私にはありません。

 でも、味はけんちんが美味しいのでお薦めできます。 粋に食べる料理じゃないからなぁ。
 体が暖まるし、お腹も満腹になるから寒い季節には名物なのも当然だ。 

 今では「けんちん」と言う言葉が日本中で使われていますが、、、茨城の名物だったんだ! 知らなかったぁ。

拘り (こだわり)

 他人から見れば取るに足らないくらいで、気にしなくても良いような些細なことに心を奪われてしまっている様子のこと。

 ある意味、恋とも似たところがあり、心が若い証拠でもあるのは確か。 少し程度が進むと、偏屈と呼ばれる。

 マイナス思考で考えがちであるが、「物事を完成形を目指して損得を抜きにして猛進する旬粋な姿勢」ということもできる。

 他人に迷惑がかからない程度に、とことんとんと我が道を貫く、、、それが大人の美学というものではないかな?

こし

 噛んだ時に感じる歯ごたえをいいます。 ただ硬ければ良い分けではなく、モチモチとした弾力感・粘り気がそばの醍醐味です。

 うどんの「こし」とは違うのですが、この違いが判るかな? 

御前かえし (ごぜんかえし)

 「かえし」に「かえし」と同量の「味醂(みりん)」を加えたもの。 甘口と辛口の中間の味を味わうことができます。
 え、面倒だって! いえいえ、麺に合わせていろいろバランスを考えるのが、趣味の世界における魅力なのです。

 もり汁とざる汁を供する店において、ざる汁ってこれなのです。

粉焼 (こなやけ)

 そばを挽いてそば粉にするときにそばが熱により焼けた状態になることを言います。
 そば粉から香りを飛ばすので困ったものです。 これを防止するには、粉砕時になるべく力をいれずにソフトに割ることです。

 そのためには石臼を使い、あせらずにのんびりとそばを挽くことです。 昔の人の知恵がそんなところにあります。

木鉢 (こね)=こね鉢

 どうして木鉢がこねかと云うと、木鉢(きばち)で行うこねる作業なので、この漢字が当てられています。

 ???何言ってるのか、訳が判らん! そうだとも! 世の中にはこんな謎が沢山あるのです。

 蕎麦を打つ過程における重要な水回しを行うこの工程の出来・不出来によつて、蕎麦の出来上がりが大きく左右されるの
 だから、そんな謎がこの言葉に潜んでいても良いのかも知れない。
 まあ、自分で打たない人にどうでも良い程度の謎だからなぁ。 全てはそば粉に均一に水分を吸収させるための最も難しい
 ともされる行程だから、謎があるくらいのほうが奥が深そうで、、、良いんじゃないかなぁ。

小間板・駒板 (こま板・こまいた)

 そばを切るときに使う定規のような道具です。 特に細く均等に切るためには欠かせません。
 「蕎麦は八寸、うどん一尺」と言われているように、そばは八寸(約二四・二四センチ)ぐらいが食べ易いです。

 小間板の材質は、手でおさえる部分が、桐や杉などでできており、「枕・立ち上がり」と呼ばれる定規の部分は樫木(黒檀・花梨)で
 出来ています。 そば切り包丁を枕に当てて、トントンとリズミカルに切っていきます。

 片刃のそば切り包丁で角のあるそばを切る、、、これだけの作業をやる為の道具ってことです。

五味 (ごみ)

 人が感じることの出来る「味の違い」のことで、古来より、甘(かん)、酸(さん)、鹹(かん)、苦(く)、辛(しん)を指します。
 今流に書き表すと、あまさ、すっぱさ、しおけ、にがみ、からさのことです。

 これに、さっぱりしているという意味の「淡」を加えて、「六味」ともいう場合があります。 最近の発泡酒ビールは、これですねぇ!
 それが、従来のビールに無かったのか?となると、疑問に思うのですが、ビール業界の策略の話題はここではパス!

 で、これらだけで、「そばの美味さ」が語れるかというと、他に「香り、こし、喉ごし」の3つの更なる感性が必要なのです。

 体調にもよりますし、先入観も影響します。 育った環境や地方にもよりますし、、、まあ、つまりは自分の感性が全てだと言う事です。
 味覚は常に変化します。 その昔、美味しかったと思ったものを今も美味しいと思う必要はありません。

 子供の頃に苦い!と、思った珈琲を歳とって美味しいと思うのも自由だぁ!

 問題は、繊細な味覚にどれだけの価値を認める自分がいるかということだと思います。

 水など、この極みでしょうねぇ。 フランスから水を取り寄せる日本、、、それを味わう味覚を持つってすごい事だと思います。
 で、なきゃぁ、水道の水で十分満足ってことですからねぇ。

コリン

 コリンは体内でアミノ酸から合成される水溶性のビタミン様物質です。 簡単に言うと、ビタミンB複合体の1つなのです。 (判らんって!)
 コリンは、血管を拡張させて血圧を下げる作用をするアセチルコリンの材料になっており、充分なコリンがあれば、高血圧が予防できます。

 このアセチルコリンは神経伝達物質の役目も持っており、コリンを補給することによって、加齢にともなう記憶障害を改善してくれます。
 更にコリンには、尿中に食塩(塩化ナトリュウム)の排出を促進する働きがあります。

 また、コリンは脂質やリン酸とともにレシチンをつくります。 レシチンはコレステロールを乳化して、動脈にたまらないように作用するので、
 動脈硬化を予防し、脳血管性痴呆になるのを抑制します。

 まあ、結論をいうと、蕎麦にはコリンが含まれているので食べて健康なのは学術的に常識だってことです。

さ行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

さくら ⇔ 斤(きん)

 そば屋の隠語で、「そばの量が少ない」ことを意味します。 蕎麦屋では、客の注文を調理場伝えることを「通す」と言います。
 この通し言葉で、「おかわり、台はさくらで願います」となると、二枚目の注文は、そばの量を少なくとの意味です。
 店によっては、きれいということもあります。
 ですから、客が注文時に言ってはいけない言葉なのです。 そんな事をいう客はお蕎麦やさんに嫌われます。

 さくらの反対で、多く盛るときには「斤(きん)で願います」となります。

笹きり (ささきり)

 笹の若葉を粉にして、一番粉に混ぜて打った変わり蕎麦です。 抹茶との食べ比べ、、、もありかも。

鯖節 (さばぶし)

 鯖(サバ)を材料にした節です。 甘みのある濃厚なだしとなり、かけ汁のだしに用いることが多いです。

鮫皮卸板 (My 鮫皮卸)

 山葵(わさび)を美味しくいただくには、これを使いましょう。 きめ細かいクリーミーな山葵卸の完成!です。

 山葵を卸すと言う単機能のために、鮫皮卸板を買う、、、そんな拘りが今の時代のトレンドです。 

更科 (さらしな)

 藩主 保科家の江戸屋敷に出入りしていた布屋が、こっちの方が商売になるというので、江戸で始めたのが「更科」です。
 いまも店名に「布屋」がついているのは、昔の商売を忘れない為だそうです。
 そんな先達の気持ちは今の時代にはなかなか伝わりません。 食べて美味しい! それで良いじゃん! そんな時代です。
 問題は、食べ手の方がその味を堪能できる味覚を持っているかということです。

 このお店の特徴としては、季節ごとに様々な素材をつかった変わりそばが売り物です。

更科(さらしな)粉

 外皮、子葉部、細かく割れた粒を除いた高純度のでんぷん粉です。 つながりにくいため、一般には湯ごねにします。
 色は雪のように白く(蕎麦に打つと透明感さえある!)、ホシ(「へた」の部分の粉砕物)が一つもなく、さらさらしていますが、
 味も香りも淡いです。
 御膳粉(ごぜんこ)とも言います。 さらしなそば、変わりそば(茶そば・柚子切りそばなど)に使われます。

 厳密には、「抜き」を荒挽きした上割れ(2つか3つに割れたもの)だけを取り分け、表面がすべすべしたロールで挽いた微細な粉です。

 荒挽きの方法は、石臼で置き上げ(上臼と下臼のすき間をハガキ一枚位開けて挽くこと)で軽く製粉します。
 すると、粒の三角形が崩れて、割れたものが出てきます。 二つから三つに大きく割れたものを上割れ、完全に五つ位に割れて
 2.5ミリぐらいの粒になったものを小割れといいます。

更科そば

 そば粉のうちの更科粉を使用して打った蕎麦。 白く透明感があり、弾力性のある食感があります。

 更科粉が100%かな?というと、そうでもなく、更級粉8:小麦粉2で作っても「更級そば」として出されています。
 信じられない!という人も居るでしょうが、食感が大事な食べ物ですから、お店の味だからそれもありの世界なのです。

 ですから、老舗の店に行って連れに「やっぱ、十割は違うね!」なんて自分の舌を自慢したら、バカ舌を露見することに
 なったりします。

 もっと重要なことは、最近は小麦アレルギーの人がいますから、更級そばなら大丈夫という神話はあまり信用しない方が
 良いってことです。

更科そばを食べるときの大人のマナー

 更科そばは食べるときに大人のマナーを守って食べましょう。

 マナーは「出されたら、直ぐに食べる!」 それだけ!

 更科そばは香りは強くありませんが、弾力があり歯切れのよいさくっとした食感が命です。
 お店では、水を切ってそばの表面から水分がなくなった最良な状態で持ってきます。

 その状態で食べるのが、かすかな甘さと香り、歯ざわりを堪能出来る瞬間なのです。

ざる

 明治以降に登場した品書きです。 江戸時代からあった、「もり」にもみ海苔をかけたものです。

 付加価値を付けるべく、「もり」との違いを表現する手段として、匠が工夫をしたのは、、、、「汁」で、
 かえしに味醂を混ぜた御前がえしを加え、風味とコクの深い「ざる汁」を完成させたのです。

 え、それだけじゃ、判らん? そんな、人のためにこの下に詳細を紹介しますね!

ざる (ざるそば) ⇔ もり

 今では上に「海苔(のり)」が乗っているのが「ざる」、それが乗っていないのが「もり」と呼んでいるお店が多いようです。

 でもその名前が示すように笊(ざる)に盛られて出て来るのが正しい姿です。 それは間違いない!
 蒸篭(せいろ)に盛られた蕎麦に「海苔」が載っていて、「ざるそば」と言われたら、もう訳が判らない状態になります。

 「ざる」のあるべき本当の姿とは、竹で編んだ笊に盛り付けられ、薬味にわさびがあり、蕎麦つゆも味醂を多くした「ざる汁」を
 用いたものなのです。

 でも最近は、やっぱ「もり」と「ざる」との違いを何か?と言われると、「海苔(のり)」の有無なんだなぁ、これが!

 でも、海苔を炙って細かく切るってけっこうな手間だと思います。 材料にかけられた手間には遠く及ばないですけどね。

 そんなことより、話を「ざる」に戻しましょう。
 機能面で考えると、上げ底状態である蒸篭と違い ざるの場合には重ねることができません。
 ですから「ざる二枚」を頼んで、二枚が同時に出てくると、「一枚目を食べている間に二枚目が乾いてしまう!」のです。

 何だ、それなら、二枚目から先に食べれば良いじゃん! そんな「落ち」があっても良いような話題ですねぇ。

 そう悩まなくても問題はないのです。 ざるは蒸篭より乾き易いのが大問題なのですが、プロのお店は二枚目を時間差を
 もって出してくれます。 そう、最良の状態で、お客に美味しいお蕎麦を出すにはこれしかありませんから。

 長野の翁で、食べたときにはこの時間差攻撃がありました。 そのような攻撃をされると、攻撃を受ける側の私としては
 一枚目を食べている間も、二枚目の出てくるペースに合わせて、食を進めないといけません。
 そう、この場はお店と私との合戦の場なのです。 売られた喧嘩はかわないと、男が廃れますからねぇ。
 食べ終わった後には、お店と私にスポーツマン精神にも通じる達成感だけが残ります。 一期一会って、これかもね!

三たて

 美味しいそばの基本とされる「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のことです。

 実際には、「打ちたて」は若干時間をおいた方が良いとされています。 その理由は、打ったお蕎麦が茹で釜の中で踊る為に!です。
 打った直後は、浮いてしまい美味く茹で上がらない。 しばらく置くと、ベスト。 さらに置くと、茹で釜の下に沈んで駄目だ!と、
 ある本には書かれています。

 で、ここで問題となるのは、火加減です。 昔のように「薪(まき)」で茹でるなら、調節が難しいのは判ります。
 でも今時の「ガス」なら、コックをひねるだけで瞬時に火力を調節できます。 
 更に最近流行の電磁調理器なら、、、、マニュアルを読んでください。 「美味しいお蕎麦の茹で方」の章が番外編にあるかも!

 一般的にはここまで拘るその理由(わけ)とは、強火だと麺の表面だけに火がとおり、中は生のままだから「駄目」だそうです。
 当たり前っちゃ、当たり前の話題です。 何事も、程々が良いって事ですからね。
 つまり、中火が良いのだそうです。 いやー、美味しいお蕎麦を自分で作るのも難しいですが、この話題もそろそろ終盤になりました。

 中火の火加減で、お湯の中で3度循環したら「美味しいお蕎麦」の完成です!
 上にも書きましたが、中火で「お湯に浮く蕎麦や沈んでしまう蕎麦は駄目だ!」 と、教科書に書いてあります。
 このような状態になるように、コネの作業へフィードバックをかけて、最終的に完成された蕎麦を目指さないといけません。

 いやー悩みは尽きないのですが、これに「穫れたて」を加えて、四たてと云う言葉もあります。 こうなると、もう訳がわからん状態です。

三番粉 (さんばんこ)

 一番粉、二番粉を取った残りの部分を挽いた粉です。 実の表面近くになりますので、香りは強いですが、味は優れません。
 甘皮の部分も挽かれており、表層粉とも言われています。 食物繊維は多いのですけどねぇ。

 と、巷(ちまた)の書物には書いてあります。 でもMy石臼を持っている私には縁のない話です。
 一度に挽いてしまうので、、、とても、三番まで拘(こだわ)ることは出来ません。

塩 (しお)

 塩化ナトリウム(NaCl)を主成分として、他に塩化マグネシウム(MgCl)などの「にがり」と呼ばれる成分で構成された
 海というより地球からの贈り物です。

 いまや人間にとって必須なミネラル分(カリウム、カルシウム、マグネシウム等)の程よく入った「塩」はとても気になる存在です。

 そんなの判ってるよ! でも、何故ここでそんな事を解説しているのか?と思うでしょ!
 実は最近「そばを塩だけで食べる!」ことがあるのです。
 「蕎麦掻」に「塩」って、けっこう気に入ってます。 更に演出するなら、抹茶塩!

 箸で取り分けた蕎麦掻に、ほんの少しだけ塩をつけていただく、、、蕎麦の甘さが際立つ瞬間がここにあります。
 そんな楽しみができるのは木挽庵さん!

しがさらしそば ≒ 寒晒しそば

 「しが」とは冬季の川に小さな氷が水と一緒に流れる状態をいいます。 実は奥久慈地方の方言です。

 そんな凍るような冷たい川に蕎麦の実を浸けておき灰汁(あく)を抜くのです。 冷たい水ですから発芽はせずに、
 殻の灰汁が抜けるのです。 田舎蕎麦のように、殻ごとを挽いてそば粉を作るなら、有効な方法だと思います。
 でも最近は抜きが主流なので、水に浸かることで甘皮の灰汁が抜けるかどうかは、微妙なお話です。
 そこまで感じる味覚を持っている人が世の中にどれくらいいるのかなぁ。

 「しがさらしそば」は、大子にある「もみじ苑」さんのメニューに昔はあったのですが、今では消去されています。
 会津の方では「寒さらしそば」と言われています。

地粉 (じごな)

 地元で収穫された原料を元に、地元で製粉して作られた粉を指す俗語です。
 地方を旅行していて、この張り紙のあるお蕎麦屋さんがあると、つい立ち寄りたくなります。

 地元の粉と地元の水で打つ蕎麦は、その土地でしか味わえない代物ってことですからねぇ。

七味 (しちみ)

 七種類の原料から作られることからその名があります。 とは言え、内容は生産者によって異なりますけどね。
 材料を揃えて、自分でブレンドすることも出来ます。 自分だけの七味を作るのも良いかも! もちろん、自分の責任でね!

 よく使われている材料は、以下のようなものです。
 唐辛子(とうがらし) そのカプサイシンのパワーときたら、体を中から暖めてくれます。
 芥子(けし、ケシの実) 変わりそばにも入れられるくらいですから、これもありか!
 陳皮(ちんぴ、ミカンの皮) 冷たいとその存在感がありませんが、そば湯などをそそぐと良い香り!が存在感を主張します。
 胡麻(ごま) 白と黒があります。
 山椒(さんしょう) 小粒でぴりりと辛いと云われています。 成熟した実から中の種子を除いて、果皮の部分を使います。
 麻の実(あさのみ) 鳩の餌としてポピュラーですが、人間が食べても良いってことです。
 紫蘇(しそ) この辺になると、「シソオイル」が効いてきそうで、健康になるのも当たり前の世界です。
 海苔(のり)
 青海苔(あおのり)
 生姜(しょうが)

七味唐がらし (しちみとうがらし)

 江戸初期の寛永2年(1625年)、江戸両国の薬研堀(やげんぼり)で初代「からしや徳右衛門」という人物が売り出したのが、
 七味唐辛子の起源といわれています。

 とはいえ七味唐辛子というのは上方風の呼び名、江戸では七種唐辛子(こう書いてなないろとうがらしと読む)と呼ばれるのが
 普通だったそうです。 今ではやげん堀も七味唐辛子と言っているので、日本中で使われている言葉となっています。

 現在では浅草の他、信州は長野の善光寺、京都は東山の清水寺が有名ですね。
 有名なお店としては、東京浅草「やげん堀」の七味唐辛子や京都祇園「原了郭(はら・りょうかく)」の黒七味があります。

志っぽく (しっぽく)

 江戸時代の定番である具が沢山乗った温かいお蕎麦です。
 椎茸(しいたけ)、蒲鉾(かまぼこ)又は竹輪(ちくわ)、くわゐ、竹の子、ほうれん草、卵焼き、、と言った具の他に「鶏肉」が
 トッピングされています!

 この鶏肉があるだけで、、、当時はすごいご馳走だったのです。 何しろ、魚以外の「肉」ですからねぇ。
 落語の「時そば」では常識的に出てくる「しっぽく」なのですが、今ではなかなか食べることが出来ません。
 でも、具の内容を見ると今の時代なら自分でも容易に作れます。 食べてみたい貴方! あとは、貴方の努力と決断力だけです。

十割蕎麦 (じゅうわりそば)

 蕎麦粉と水だけで打ったそばのこと。 一般には打つことが難しいとされているので、値段が高くても文句がでない蕎麦。

 とはいえ、昔から東北の田舎では「湯ごね」で十割蕎麦を打ってました。 湯ごねとは、まず蕎麦粉に熱湯をそそぐことにより、
 そば粉の中のでんぷん質を糊化して、つなぎに利用する方法です。

 簡単にいうと、まず「そばがき」を作る。 そばがきはべたべたしているから、このべたべたを使って、残りの蕎麦粉をまとめる
 のです。 それだけの手間で高く売れるそばが出来るなら、みんなでやるべきだな。

 一方、水ごねでも十割蕎麦を打てる人もいるようですが、究極の十割蕎麦はそれだな。

 つなぎ成分がないと切れやすく、短い蕎麦になりやすい欠点をもっています。 茹でれば切れにくくなりますが、
 取り扱いに注意しないといけない面倒な蕎麦なんですす。

正角 (しょうかく)

 そばを丁寧に薄く延して、その延し厚と同じ幅、すなわち正方形の断面に仕上げることを正角と呼びます。
 切り揃ったそばは見た目に美しいだけでなく、茹でる際にも時間のバラツキもないので美味しいそばになります。

 今風の言い方をすると、「エッジがきりりと立って、そのビューテフルさに思わずため息がでる」ってことです。

常識(じょうしき)

 「常識破りの蕎麦屋」を生み出すための土壌となっている世間の人が持っている理性と誤解された知識のこと。

 自分の味覚に自信を持てない人がすがる免罪符のようなもの。

 蕎麦における常識とは、
 「そばは新そばに限る」「そばは打ちたてが旨い」「そばの栽培には平地や休耕地は向いていない」等がある。

醤油(しょうゆ) 正油とも書きます。 別名「したじ」、「むらさき」

 大豆と小麦を原料として、麹菌で醗酵させると、タンパク質がアミノ酸に分解されるので、うま味の強い液体調味料です。
 塩分が最近は嫌われがちですが、蕎麦には欠かせない友です。

 製造方法、原料、特徴などから、「こいくち(濃口)」「うすくち(淡口)」「たまり(溜り)」「さいしこみ(再仕込み)」「しろ(白)」の5種類に
 分類されています。

 最近のスーパーでは、他の種類もありますからここでご紹介!

 減塩しょうゆ・うす塩しょうゆ
 塩分の割合を通常の醤油より減らしたものです。 前者は高血圧や心臓病、腎臓病などの人を対象に、厚生労働省の「特別用途食品」に
 指定され、減塩しょうゆの塩分は9%で通常の醤油の半分です。
 うす塩しょうゆの塩分は13%で通常の醤油の8割程度です。
 製造方法は、醤油からイオン交換法で塩分を除去する方法と、濃厚に造った醤油を希釈する方法の2通りがあります。

 刺身醤油、出汁醤油、土佐醤油
 醤油を原料に、昆布だしやカツオだしを添加し、うまみを強化した液体調味料です。
 それぞれ特に基準はないため、同じ名称でもメーカーごとに味わいは異なっています。

新そば

 収穫期である秋に採れたそばのことです。 また新そばで打ったそばのことも指します。 「秋新」ともいいます。
 6月〜8月に出回る夏そばのことは、”新そば”とはいいません。

 新そば=緑のそば、なることを粋とする蕎麦の世界では、昔は初夏の時期にはクロレラを入れて緑の演出効果を狙ったそうな。
 これなど、美味しく食べてもらおうというお店の熱意を感じる話です。 でも今では、低温貯蔵の技術が進歩しているので、初夏でも
 美味しいお蕎麦をいただけます。 更には、南半球からの「新そば」が来たりして、もう今の時代は、まずいそばがない時代!

 新蕎麦は旬を味わうものです。 どの産地でできた蕎麦が一番美味しいのか、それを確かめたくて彷徨(さまよ)うのが、晩秋の
 大人のあるべき本当の姿だと思います。 たかが蕎麦ですが、されど蕎麦ですから!

砂場 (すなば)

 大阪城築城の職人をあてこんで資材用の砂置き場で商売をしていた蕎麦屋が、築城終了とともに江戸に引っ越してきました。
 そのとき名乗ったのが「砂場」です。 大阪ではうどんも商っていたが、江戸に出てからは蕎麦屋専門店になりました。

 時代で言うと、享保15年(1730)頃の話題です。 新町遊郭の和泉屋(いづみや)と津国屋(つのくにや)が有名店。
 今では、東京にある「巴町砂場」のルーツは実は大阪にあったのですね。

ずる玉 (ずるだま)

 水回しのときに、加水を多くしてこねやすいようにして打ち上げたものをいう。 風味が落ちてしまうので、駄目駄目!

蒸籠 (せいろう)

 一般的には、「せいろ」と呼ばれています。 パソコンに「せいろ」で入力して、変換! 蒸篭、蒸籠が候補として表示されます。
 「せいろう」なら、蒸籠が一番最初に表示されます。 まあここはそんな些細なことに拘らず、せいろと呼びましょう!

 そばを盛り、お客に提供するための器です。
 その形により、盛りせいろ(長方形)、丸せいろ(丸)、角せいろ(正方形)がある。

 盛りせいろ:「六八せいろ」長方形で横が6寸8分、縦が4寸8分 「七五せいろ」横が7寸、縦が5寸の2種類があります。
 丸せいろ :標準的には外径が7寸です。
 角せいろ :正方形で標準的には6寸5分です。 大型の7寸5分の物は「御膳せいろ」と呼ばれています。

 外枠は漆塗りの高級品もありの世界です。 それを見る目を持ちましょう。

 昔の物ですと木地は檜(ひのき)で、本漆で何回も重ね塗り(コーティング)されています。
 でも、ぶつけると角が剥がれて(チョロける)しまうので、塗り直したりして大切に使われてきました。

 中に敷いている、竹の簾(すだれ)と供に手入れが大変だと思います。
 その苦労を思えば、老舗の蕎麦の値段が少々高くても納得してしまいます。

 まあ最近は、ABS樹脂で出来た器が多いのですけれどね。この場合には角は剥げませんが、メリットです。

せいろそば (蒸篭そば・蒸籠そば)

 「もりそば」のことです。 もとは、そばを茹でずに蒸篭(せいろ)という蒸し器で蒸したため「せいろ」と呼ばれたが、
 現在はそばを盛る器によって呼ばれたり、単にもり・ざるを「せいろ」と称する店もあります。

 でも、見た目で判り易いのも重要なことですから、蒸篭でだされるものを「せいろそば」と呼びたいですねぇ。

 正しくは、「せいろう」ですが、小さな親切、大きなお世話な話題です。

疝気 (せんき)

 小腸や生殖器などが、発作的に劇痛を反復する病気だそうです。 「悋気は女の慎むところ、疝気は男の苦しむところ」

 落語の「疝気の虫」 疝気の虫の好物は、「蕎麦」です。 嫌いなものは、「唐辛子」。
 蕎麦を食べると、虫が喜んではしゃぐので疝気になります。 まるで、私と同じですねぇ。

 で、唐辛子が来ると、疝気の虫は「別荘」へ、、、、この続きは、落語でお楽しみ下さい!

禅味 (ぜんみ)

 蕎麦の味の特徴を表現した言葉です。 ⇔俳味 (はいみ) 禅味が判らん御仁に俳味はもっと判らん世界!

 蕎麦は「そば粉」と「水」が基本の食べ物、、、ですから素朴・淡泊の中に微妙な味わいがあります。
 他に何も足さない、何も引かない、、、そんな空(食う)の世界に満足心を感じるのは心の豊かさなのです。

 そんな世界で、自分の感性を信じて、「香り」や「味」を楽しむのは、まだまだ素人!
 「歯触り」、「喉ごし」といった従来の五感!より高次元の感覚で森羅万象のおかげで私は生かされていることを感じながら、
 うぶな気持ちで蕎麦を味わうことを楽しむのです。

蕎麦 (そば)

 穀物の蕎麦(そば)の実を原料として加工した日本食としての麺類の一種です。および、それを用いた料理のこと。

 蕎麦切り(そばきり)、日本蕎麦(にほんそば)とも呼ばれています。

 この蕎麦の調味として使われる「もり汁」や「蕎麦汁」は、日本の西と東では色・味・濃さに明らかな違いがあります。
 それがどのようなものかは、沢山の書籍が販売されているから、本屋さんに行きましょう!

 蕎麦屋の箸袋を栞(しおり)としてはさんでおくようにしていれば、次第に厚くなる本の分だけ薀蓄が増えていきます。
 それを書き留めていくと、自分だけの思い出が残るし、知人とのコミュニケーションの足がかりになりますよ。

そば (蕎麦、ソバ)

 タデ科の一年草で、やせ地・寒冷地でも育成します。 2〜3ヶ月という短期間で成長し、結実するため、昔は飢饉時の
 救荒作物とされました。 そばの育成にもっとも影響する自然条件は、主として気温と昼間時間の長さです。
 一般に、そばの花粉発芽の適温は20℃以下であり、28℃を越えると雌しべの発育が不良となり、不作の原因になります。
 そばの生育には高原地帯の冷涼な気候が適しているというのはこのためですが、気温が低すぎてもよくはありません。

 品質面で考えるなら、昼夜の気温差も重要です。 晴れた日の早朝霧が発生するような場所で育つものが「霧下そば」と
 呼ばれて、昔から珍重されています。

 花粉を運ぶのは「虫」なので、虫媒花です。 雨が降ると虫の活動が悪いので、不作になっちゃいます。

 現在は、血管を強くするルチン、血清コレステロールの低下に効果のあるレジンなどの栄養面が見直されています。
 そば茶として飲むのなら、ダンタンそば茶が私のお奨めです。
 でも、そばアレルギーなんて人もいるので、なかなか難しい世の中ですね。

蕎麦打ち (そばうち)

 蕎麦粉と水から、地域や歴史、拘り(こだわり)により様々なやり方により身近な人に食べてもらえるような蕎麦に仕上げること。

 一般的には、 水廻し、こね、くくり、延し、たたみ、切り、一回休み(お蕎麦の休息)、茹で、水晒しの工程をとることが多い。

 ここで疑問になるのが、「打つ」という言葉が出てこないことです。
 打つとは一般的には、たたく意味で使います 例えば、釘(くぎ)を打つ 頭を打つ 拳骨を食らわす

 でもね! 打ち粉という名前があるのです。 延しにおいてこの打ち粉は非常に重要な役割をはたします。

 延し棒に蕎麦がくっつかないでちゃんと延ばせるようにしてくれるのです。

 だから、打ち粉を延ばす蕎麦の表面にしっかりと打ち込むことで美味しいお蕎麦が出来上がります。

 蕎麦延し、じゃなくてぇ、蕎麦打ちって、蕎麦に打ち粉(花粉)を打ち込むに由来しています。 (と、思ってます)

 打ち込め愛情(打ち粉 または 魂) 蕎麦打ち道に!!! それもありだと思います。

蕎麦打ちは最初の10秒が奥義なんです!

 蕎麦を打つのは難しいとお嘆きの貴兄へ! それは、チョットばかりの勘違いなのです。

 蕎麦打ちの最初の10秒間、、、それさえ上手くやれば、美味しい蕎麦も夢ではないのです。
 水回し、、、我侭な蕎麦粉に均一に水を含ませることさえ出来れば、、、美味しいお蕎麦の完成!です。
 でもねぇ、プロのようにまず9割の水を蕎麦粉の中央に入れて、、、指先の感覚で、、、均一にするのは、難しい!

 だからね! 所さんの目がテン♪ で紹介していたように、「霧吹き」でじっくりと水分を与えるようにしましょう。
 これなら、10秒なんてけち臭いこと云ってないで、自分の蕎麦道を楽しむことができます。

 慣れてくれば、自分なりの奥義を見つければ良いだけの話題です。 水回りの悪い蕎麦粉はつながりません。

 プロはそれを見て、、、そうだとも! そうさぁ! と、ちょっと、得意げになりますが、霧吹きで水分を補充すれば、簡単に
 まとまる蕎麦玉にまりますから!!!

蕎麦の定義 市販されてものについての薀蓄

 日本では日本農林規格(JAS)において、30%以上の蕎麦粉を用いた麺を蕎麦と言うのです。
 ですから、スーパーで安価に売られている品物にはちゃんと70%の小麦粉が入っています。

 別の棚には、五割蕎麦や八割、、、究極は十割なんていう物が高価な値段で売られています。

 食品の袋に書かれている原材料表示は原則的に使用量の多いものから順に記すことになっています。
 ですから、市販の乾蕎麦のパッケージの裏側を見れば、たいていの場合には「小麦粉 そば粉」の順になっています。

 だから、多くの人が食べているものはJAS的には蕎麦であっても実質的には「3割のそば粉入りの細うどん」ということになります。

蕎麦にまつわる俳句

 「蕎麦はまだ 花でもてなす 山路かな」 松尾芭蕉

 「蕎麦も見て けなりがらせよ 野良の萩」

 「三日月の 地は朧に 蕎麦の花」

 「刈跡や 物に紛れぬ そばの茎」

蕎麦掻き (そばがき)

 そば粉を食べる!ことの、原始形がこれです。 そば切りが発案される以前は、これしかない世界でした。
 切って細くして食べるという、面倒な発想を江戸時代の人が何故したのか? それに、興味を感じる私です。
 そんなことは、叉今度調べることにして、まずは解説を書かなくっちゃ!

 蕎麦掻は、そば粉を湯ごねして団子状にしたものです。 そばつゆや醤油で食べます。 私の好きな薬味は、下ろし生姜です。

 100%のそば粉と水だけで作る世界ですから、シンプルですが、「そば本来の魅力」を堪能できます。
 そば粉は「粗めのそば粉」で作る方が、食感が良くなります。 目の粗さの違うものをブレンドすることも出来る世界!

 作り方は、「そば粉を入れたお椀に熱湯を注いで掻き回すだけの椀がき」と「鍋に入れたそば粉を水で溶いてから
 火に掛けて掻き回す鍋がき」の2通りが一般的です。

 「お湯が沸いている鍋の中に篩いながらそば粉を入れる、掻き混ぜる鍋がき」もありますが、一人での作業が困難なので、
 あまりお奨め出来ません。

 どちらか?は、まあ好みの問題ですが、水から作る鍋がきの方が、そば粉が玉(だま)になりにくい反面、そばの香りが
 飛びやすいと、古い文献にはたぶん、、、書かれています。

 何しろ、「蕎麦掻き」は豊臣秀吉の好物だったという記録があるくらいですからねぇ。

 お蕎麦屋さんのメニューの中に「蕎麦掻」があれば、そのお店はちょっと期待できるお店かも!
 蕎麦掻には美味しいそば粉を使う必要があるので、自信がないとメニューに入れることが出来ませんからね。

 私のように、My石臼まで持っていて「粗いそば粉で作った蕎麦掻」を食べることの好きな客を満足させないと
 いけないのですから!

そば清 (上方落語版:蛇含草(じゃがんそう))

 清兵衛さん、そばの大食い競争に三両をかけて挑みました。 清兵衛さんの秘策は、秘密に用意した蛇含草だったの
 ですが、、、  続きは、本物の落語で楽しんで下さい。

そば猪口 (そばちょく)

 そばのつけ汁を入れる磁器製の器です。 「そばちょこ」とも言います。
 語源は朝鮮語の鐘(湯飲み風の焼き物)の音である「チョンク」だという説もありますが、まだ定説はありません。

 江戸時代初期、九州の有田窯(伊万里焼)で焼かれるようになりました。 当時は和え物など料理を盛ったり、酒盃として
 用いられた生活雑器でしたが、いつしか「そば汁」の器に使われるようになりました。

 陶器は「土もの」、磁器は「石もの」と云われていますが、昔の人は汁を磁器に入れていたようですねぇ。
 江戸時代ですから、庶民としては磁器のもつ清潔感、丈夫さ、洗い易さによって選んだのでしょう。

 でも最近は陶器も釉薬の技で進歩してきましたので、陶器の器も使われるようになりました。
 陶器の素朴さや温かみって、私は好きです。 そんな事を思うより、お店では「そば」の味わいに熱中してますけどね。

そばつゆ・そば汁 (そばじる)

 出汁(だし)に「かえし」を合わせた汁で、もりそば用のつけ汁と、かけそば用のかけ汁とがあります。

 つけ汁にそば湯を入れて呑むと、、、鰹の香りがいいんだなぁ、これが。

蕎麦の三(み)返り

 蕎麦は茹で上がるのが早い。 茹で釜の中で蕎麦が3回返った時に茹で上がるのが、ちょうどよい火加減だという
 意味です。 薪を使っていた当時の口伝です。

 小麦粉をつなぎにすると、こんな時間では茹で上がりません。 完全に小麦粉に火が通らないといけませんからね。
 もう少し時間をかけましょう。 

 達磨の高橋さんは二八派ですが、三返り半が丁度良いと言ってました。 ブレンドすると、火の通らない小麦粉でも
 人間が消化できるのかなぁ? 蕎麦の世界はなかなか難しいものですねぇ。

蕎麦前 (そばまえ)

 そばが振舞われる前に出されるお酒の事です。 私もそんな場面に是非遭遇したいと常々思っているのですけどねぇ。
 お蕎麦屋さんには良いお酒がおかれています。 そんな世界を知りたい人は池波正太郎の「鬼平犯科帳」を読んでね!

 江戸時代には、「上等」の酒が飲めるのは、「蕎麦屋」と「うなぎ屋」でした。 品書きに「上酒」とあれば、銘柄が書かれて
 いなくても、お店がお奨めする上等な酒なのです。 味噌を舐めながら、酒をちびり、、、で〆のそばをたぐる、、、良いなぁ。

 酒をそばを食べる前に飲み、とっとと蕎麦を手繰って、無粋な長居をしないで店を出るのが、大人のマナーです。

蕎麦味噌 (そばみそ)

 蕎麦味噌といっても、なめ味噌タイプと味噌汁に使うタイプの二通りがあります。

 なめ味噌は甘味噌と蕎麦の抜き(殻を取った蕎麦の実)を混ぜて、火を通した物。 お酒のつまみとして用いられる一品です。
 味噌汁タイプのものは、普通の味噌の米こうじの代わりにそばこうじを使った物です。

 私の好物は、なめ味噌タイプのものなのです。 何せ、私は酒飲みですからねぇ。
 なめ味噌タイプのものは、甘口の江戸甘味噌に「みりん」や砂糖を加えて火にかけ、十分に練り上げたところへ、煎った抜きそば
 (挽き割り)や白ゴマを混ぜ、さらに「唐辛子粉」を加え、練り合わせて作られたものです。

 照りを出すには、「みりん」のパワーが必要なのです。 で、完成した蕎麦味噌を口に運ぶと、蕎麦の実の歯ざわり感が実に
 良いのです。 同様な物に、「焼き味噌」があります。 これは味噌に抜きや葱を入れて、杓文字(しゃもじ)に塗って、直火で
 焼いたものです。 これも、香ばしくて良い物です。 そう、こうなればもう何でも良いってことなのです。

そば湯 (そばゆ)

 そばを茹でたあとの茹で汁のことです。
 そばの栄養素の一つである「ルチン」は水に溶けやすいので、そば湯にはたっぷりと含まれています。

 食後につけ汁をそば湯で割って飲むと、とても美味しいのです。
 割っても美味しい「もり汁」こそ、本当に美味い代物です。 甘くなったり、水っぽくなるようでは、駄目です。

 冷たい時には感じにくい「もり汁」の香りも熱いそば湯で割ると、香るようになります。
 自分の味覚を試すには、これは良い方法です。

そばを打つ

 これが多くの人の目指す道程ですから、ちょっとその過程を紹介しましょう。 教科書!に書いているストーリーですけどね。

 1.そば粉をふるう
   粉の粒子をほぐしたり、そば殻や異物を取り除くために、そば粉をふるいにかける。
   (イヤー、今時そんなそば粉を入手出来る人が居るのですかねぇ??? ある意味、バカな?だし、ある意味、羨ましい。
    きちんと、保管すれば固まることはないし、市販のそば粉に異物が入るなんて、有りえない)

 2.水回し
   木鉢の中で、両手をS字(またはZ字)に大きく、すばやく動かして、そば粉全体に水がいきわたるようにする。
   ここから練りまでの工程が蕎麦打ちの技(スキル)の見せ所です。 勘をたよりにがんばりましょう。
   水の量が重要なのは言うまでもないことです。 粉の状態で入れるべき水の適量は変化します。
   ですから、この領域の話題になると、経験による「勘」が全てなのです。
   (この時の指は、テニスボールか夏みかんを掴んでいるイメージで、、、決して、その指の間隔を変えてはいけない!
    この間隔を変えないことで、何度打っても均一な蕎麦を打つことが出来る感覚を養うことが出来るのです。
    間隔と感覚、、、分かるかなぁ、分からないだろうなぁ。
    そんなことはともかく、握るボールのサイズは木鉢の大きさと打つそば粉の量で変わります。 あ、当たり前か!)

 3.くくり
   水を含んで次第に大きくなってくる粒を、くっつけてまとめることで、固まり(そば玉)にする。

 4.練り(菊もみ・へそ出し)
   そば粉に水分をしっかりと吸着させ、そば玉の中の空気を抜くように手のひらで良く練り込む。
  (この辺は、陶芸と一緒ですねぇ。 均一な物に仕上げないと、結果が悲惨になります。)

 5.手延し
   固まりを木鉢から延し板に移し、手のひらで均一の厚さになるよう延します。

 6.丸延し
   ここからは麺棒を使います。 均一の厚さで、丸くする、、、このために頑張りましょう。

 7.角出し
   麺棒を使って、丸くなった生地をさらに卵形から菱形に、、、最後は正方形に延していく。

 8.本延し
   正方形の生地をさらに長方形に延ばし、均一な薄さにしていく。

 9.たたみ
   切りに備えて、麺棒を使って本延しされた生地をたたみます。
   (たたんだ端を押さえてはいけません。 折れると、短い蕎麦になっちゃいますよ!)

 10.切り
   切り板の上で、そば切り包丁と小間板を使って一人前(約130g)ごとに切ります。
   (延した蕎麦の厚さを考慮して、食べるときの食感を想像しながら、リズミカルにトントンと切っていきます。)

 11.茹で
   お湯は多いほうがいいです。 で、地球温暖化が問題となっているのです。
   やっぱ、お湯はお蕎麦の量を顧慮して、適量にすべきだなぁ。
   (中で踊るそばを見ながら茹で上がりをまちます。)

 12.洗い
   流水にさらして、軽く洗います。 表面のぬめりをとるためですけどね。
   仕上げに氷水でさっとしめることもあります。

 13.盛りつけ
   ここまでくれば、あとは自由です。 見た目に拘るのも良いですし、味で勝負! それも良いです。
   薬味に拘るのも、器に拘るのも、、、究極は、そんな物に拘らずに自分の味覚の熟練度を楽しむ事でしょうね!
   美味しいモノを美味しいと感じることが出来る味覚、、、これが一番大切な価値あるものですからね。

た行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

高遠蕎麦 (たかとうそば) 福島県

 歴史を感じますねぇ! 福島県で食べることの出来るお蕎麦なのですが、そのルーツは、信州高遠(たかとう)なのです。

 辛味大根の絞り汁に焼き味噌を溶いた汁でいただくのが正統派です。 通は、味噌なしの辛味大根でいただきます。
 と、言うより最近は辛味大根の汁で頂くのが、、、普通なので、、、これしかない!のですよ。

手繰る (たぐる)

 蕎麦を食べることを、江戸時代には手繰る(たぐる)と言ってました。 え、だからどうした???と、言われてもねぇ。
 それを知っていると、古典落語を聞いた時に、知らない人より「悩み」が一つ少ないってだけの事なのです。

 この一つが集まれば、いずれは百や千になるのです。 で、千、、、の神隠しへと〜♪

裁ちそば 福島県桧枝岐の名物 裁ち蕎麦の写真

 十割蕎麦は折って重ねると切れやすいので、広げた蕎麦を数枚重ねて菜切り包丁で布を裁つように切った蕎麦です。

 厚めに延した蕎麦を重ねて細く切っていきます。 ですから、蕎麦の断面は長方形です。
 江戸風では小間板を当てて切るのですが、裁ち蕎麦では使いません。 普通の菜っきり包丁だけで切っていくのです。
 この「手ごま」の技を実際に見てみると、こりゃ、やはり地元の文化だなぁと思います。

韃靼蕎麦 (だったんそば)

 韃靼(だったん)そばは、別名「苦(にが)そば」と言われる、ゆでると鮮やかな黄色になるのが特徴的な中国の高地で
 栽培されているそばです。 その名の通り、日本のそばにくらべて、苦味成分の量が圧倒的に多いのです。

 血液をサラサラにする成分ルチンの含有量は、日本のそばの100倍以上とも言われ、脳卒中や心筋梗塞、高血圧などに
 効果があります。
 また、その効果は摂取後1時間ほどで発揮されます。 ミネラルやビタミンB1、ビタミンE、食物繊維なども豊富に含まれ、
 抗酸化作用、抗腫瘍作用もあります。 また、日本のそばに含まれていないシス・ウンベル酸というメラニン色素を抑制する
 成分が含まれていることから、シミ、ソバカス、日焼け予防など美白効果も注目されています。

たね汁(たねじる)

 てんぷらそば、鴨汁そばなど、種物(たねもの)用のつゆです。 かけ汁と天つゆの中間の味です。

種物 (たねもの)

 そばの上に天ぷら、卵、肉、油揚げ、天かすなどの具をトッピングした温かいお蕎麦です。
 乗せる具によって、「月見」や「きつね」、「たぬき」など洒落た名前が付いています。

 赤い!と言えば、「キツネ」だし、緑!と言えば「たぬき」、、、そんな今日この頃なのです。
 では、月見の色は? なんて、悩むのも今日この頃です。

 天ぷらといっても貝柱のかき揚げや海老の天ぷらなど、いろんなバリエーションが楽しめます。
 出汁のしみた種物って、美味しいんだなぁ、これが!

猪口 (ちょく)

 もり汁にそばをつけて食べるための器です。 そば猪口とも呼ばれています。
 もともとは、料理を入れる器だったのですが、麺類の普及にともなってつけ汁用の器としての用途が代表的なものと
 なりました。 古伊万里など年代物の品を楽しむことが出来ます。

 見た目を楽しむ?! で、味が違うの? そんな発想をする人がいるのは「粋の世界」における帝国軍の暗黒面のフォースの
 影響を受けているからなのです。 見て楽しむ、味で楽しむ、、、そんな普通のことを受け入れたいですね。

津軽そば (青森県)

 つなぎに一昼夜水に浸した大豆を使い、出汁に焼き干しを使用します。 2日もかけて作るのですから、津軽の人の蕎麦への
 思い込みの大きさを感じないわけにはまいりません。 チャンスがあれば大豆の甘さを感じながら、いただきましょう。
 それほど、手間のかかった蕎麦なのですから!

つけ汁 (つけじる)

 だし汁に三〜四割のかえしを合わせた、もりそば用のつゆです。 もり汁、辛汁、からむ汁ともいいます。
 ざるそば用には、もり汁にみりんを加えてコクを増したものを使うお店もあります。

つなぎ

 そば粉に混ぜ入れる小麦粉、卵、山芋(大和芋)などのことです。 そば粉に粘り成分を補うために入れます。
 一般的には、小麦粉のグルテンの成分を使います。 この場合の小麦粉は「割り粉」と呼ばれています。
 ですから話は単純で小麦粉二割を入れたら、二八そばになるってことです。

 でも、その為に湯で時間が長くなるのです。 卵や山芋なら茹で時間は短くて良いです。

天ざる

 ざるそばと天ぷらとを別の器に盛った今ではポピュラーなメニューですが、戦後になってから考案されたものです。
 栄養価が高いと言われている蕎麦なのですが、全ての栄養素を含んでいるわけではありません。

 エビには、注目の抗酸化成分のビタミンEが豊富に含まれています。
 ですから蕎麦の中のルチンだけでなく、ビタミンEの体の毛細血管を広げる働きにより、血液をサラサラにして血行を
 ダブル効果でよくしてくれます。

 また、普通の場合天ざるには、野菜の天ぷらも付いてきます。 これで美肌効果があるビタミンCも同時にとることが
 できます。 さつまいも天がおすすめです。
 さつまいものビタミンCは熱に強いので、油で揚げてもビタミンCの劣化が少ないのです。

天ぬき

 天ぬきとは、天ぷらをのせたかけそば(天ぷら蕎麦)から蕎麦を除いたもののことである。
 なら、それって「蕎麦ぬき」と呼ぶべきだと云う意見もあるでしょうが、、、昔からの言い方ですから仕方ないですねぇ。

 そば前をいただきながら、ゆっくりと天ぷら蕎麦を食べていたのでは、蕎麦がのびてしまうから生まれたものなんです。

 同様の言葉に、鴨抜き(鴨南蛮の蕎麦抜き)、台抜き(天抜きと同じだけど、カツ丼などのご飯抜きも該当)などがあります。

外一 (といち)

 そば粉の量に対して、その一割の「つなぎ」を加えて打つ場合の混合率のことです。
 普通、このつなぎは小麦粉です。 鶏卵や山芋を入れたら、、、どう呼ぶかは判りません。 蕎麦の世界はまだ謎がある!

 つなぎを二割加えると、外二となります。 

時蕎麦(ときそば)

 今は昔 冬の夜更(よふ)け。 往来の二八蕎麦屋に客がやってきてはじまり、はじまり。

 しっぽくそばの代金を、そば屋に「今何時(なんどき)だい!」と聞いてごまかそうとする噺。
 あまりに有名な噺ですから、皆さんご存知のことでしょう。

 九つは今の深夜0時頃です。 十六文の中で、九をチョイスするセンス、、、って、昔の人はグットセンスなのかもね!

 長崎の郷土料理となっている卓袱(しっぽく)料理ですが、これを江戸のそば店がまねて太平椀(塗り物の大椀)に盛り、
 “しっぽくそば”と称して売り出しました。
 そば・うどん台に竹輪・鶏肉・干瓢(かんぴょう)・椎茸(しいたけ)・麩(ふ)などをのせた種もので、寛延(一七四八〜五一)の
 頃の出現といわれ、大いにもてはやされたそうです。

徳利 (とっくり)

 もり汁を入れて、お客へ出す為の容器です。 夏の暑い日に冷やした徳利と蕎麦猪口が出てくるとお店のこだわりと
 客をもてなす優しさを感じます。

 とは言え、生ビールを飲む訳ではないので、、、冷やすことにこだわりを持たないのもあり!その程度の問題です。

 最近は、前もって猪口に汁を入れて出し、徳利を使わない店もあります。 そばの量が少ないならそれもありだと思いますが、、、

 最後にそば湯で満足感を客に味わってもらうには必要な品物だと思います。

友つなぎ (ともつなぎ)

 湯を加えて「蕎麦掻」を作り、それに周りの粉を寄せてつなげていく方法です。 つなぎの力のない更科粉などに
 用いられます。 桧枝岐の裁ち蕎麦などの十割蕎麦も、この方法でつなげられます。

 1kgの蕎麦粉を使って打つなら、加える熱湯の量も多いのでこれもありの技なのですが、、、量が少ないとちょっと難しい
 秘儀なのです。

 迷える子羊よ! そんな事に悩むなら、我が「蕎麦掻派愛好会」の門徒となるほうが精神衛生上良いですよ!

な行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

生がえし (なまがえし) ⇔ 本がえし

 砂糖に味醂または水を加えて熱し、溶かして水飴状にする、これを生の醤油(しょうゆ)に混ぜて熟成させます。
 醤油を加熱しないのが特徴であり、醤油の香りが生かされた切れのあるつゆになります。

 冷蔵庫のある現在ですから、火を通さないでも心配ないのでしょうが、昔はちょっと不安だったでしょうねぇ。
 だってただでさえカビが生えやすい醤油に砂糖を入れるのですからね。 いくら冷暗所に保存と言っても心配です。

納豆(なっとう)そば

 納豆(甘納豆ではない!)、、、糸をひく納豆をそばの上に盛り、冷たいかけ汁で食べるそばです。
 水戸っぽの好物? か、どうかは調査したことがないので、わかりません。 でも、健康に良いのは確か!

生舟(なまふね)

 包丁で切り終えた蕎麦を入れておく木箱のこと。 蕎麦が乾燥しないように蓋がついています。

 とはいえ、蕎麦を直接いれないで、紙にくるんだ状態で入れるのがプロのお店です。
 一人前が包まれた蕎麦だから、あとの茹でる処理が簡単にできます。 
 全ては、美味しい蕎麦を食べるためにと、考えられていますから!

なめこそば

 なめこと白髪ねぎを蕎麦の上に盛って食べるそばです。
 なめこはざるに入れてさっと熱湯にくぐらせてから、水気を切って使います。

 かけ汁は、冷たくても温かくてもありの一品です。

南蛮 (なんばん)

 南蛮とは、葱(ネギ)のことです。 古代中国時代、タイ、ルソン、ジャワなどの国々のことを江戸時代には南蛮と呼んでいました。
 蛮という字は、「野蛮」という言葉を連想させるのに、まったく失礼な言葉だと思います。

 それが なぜ「ネギ」になったのかは定かではありません。 でも、かの地を経由して日本に来た人が好んでネギを食していたために、
 ネギを入れた料理も指すようになったと思われます。

 鴨の油の甘さと葱の甘さのフラボ、、、、そんな些細な解説をここでするほど私には余命がないのです。 焼いた葱の甘さ、、、
 を解説する暇があるなら、、、スーパーに行く方が大事な観天望気なのです。)

肉そば (にくそば)

 ここで解説するのは、「冷たい肉そば」。 山形県の河北町のそばです。
 一般的なカツオ出汁をベースに鶏肉(地鶏)の旨みがたっぷり出た冷たい汁、コシのあるそば、上にはしょうゆ味で煮込んだ
 薄切り鶏肉と刻んだネギが添えられてます。
 冷たい汁なら蕎麦が延び難いので、冬場でも頼む人が多いのももっともなことです。

 河北町では、「一寸亭(ちょっとてい)」と「いろは」さんが鎬(しのぎ)を削っています。
 「いろは本店」では縮れ麺と冷たい汁との相性がピッタシ! 縮れ麺???、、、いやー、蕎麦の世界も奥が深いなぁ。

 でも、山形まで行けないなぁ!と、お嘆きの貴兄には、「山形田」をお勧めします。 東京の京極にあるお店ですから、
 「蔵王冷やし地鶏そば」を注文すれば、冷たい肉そばを味わうことが出来ますよ!

にしんそば

 「身欠きにしん」をトッピングした温かいかけそばです。
 やわらかく煮込んだ身欠きにしんはちょっと甘めの味付けが、いい味をだしてくれます。

 身欠きにしんは米のとぎ汁に一晩つけてやわらかくもどします。 それを番茶を煮立てた中に入れて茹でて渋抜きを
 します。 この後、表面のうろこをとっておきます。 味付けは、醤油と味醂と少量の砂糖、少し清酒を入れると照りが
 でて美味しくなるんだよな。 美味しいけど、手間のかかったのが「にしんそば」ってことです。

 だからね! お店で食べる「にしんそば」の価格が多少高くても、この手間を考えると納得するしかないですねぇ。

二八 (にはち)

 そばを打つときの混合率で、つなぎ二割、そば粉八割のことです。 一般的に、一番美味しいとされています。

 最近の教育を受けている人には、つなぎ20%、そば粉80%と言わないと分かってもらえないのかな。
 一割=10%という変換率を知っていれば良いだけなのです。 $(ドル)と違って、変動しませんからね。

 そんなのはともかく、達磨の高橋さんも、二八で蕎麦を打ちます。
 たった2割のそば粉より安価な小麦粉を入れただけで、つながり易くなるので売値が安くなります。

 十割が1000円のそばの専門店的なお店でも、二八なら700〜800円で食べることが出来るのです。
 で、それが一番美味しいなら、十割を頼むのは奇人・変人でしかないと言うことになります。

 昔は、奇人・変人かも?なのですが、今ではそれが究極のそばと思う人がいる時代となりました。

 スギ花粉アレルギー、小麦アレルギー、蕎麦アレルギーの時代です。
 二八なんてとんでもない! 混ぜたら、そばアレルギーの人や小麦粉アレルギーの両方の人が食べることが出来ません。

 今や全ての食材に十割が要求される時代なのです。 人間もどんどん進化しています!

二番粉 (にばんこ)

 一番粉を取り分けた残りの実を挽いた際に取れる、実の中心部分よりも少し外側の粉です。
 植物学の世界で言うと、胚乳部や子葉部が砕けたものであり、中層粉とも呼ばれます。

 子葉部ってなぐらいですから、色は淡い緑黄色を帯びています。
 風味のある粉になるので、そば屋では、二番粉もしくは二番粉と三番粉のブレンドが良く使われます。

抜き (ぬき)

 種物(かけそば)からそばを抜いた状態で供されるもの。 粋な蕎麦好きはこれを肴に酒を愉しむとされています。
 別の言い方にすると、蕎麦屋の酒肴(しゅこう)として、種物から蕎麦を抜いた「具とつゆ」のことです。

 「鴨抜き」は、鴨南蛮からそばを抜いた吸い物のことで、「鴨吸い」ともいいます。 「天抜き」は天ぷらの吸い物、「天吸い」。

 他には、「おかめ抜き」や「かしわ抜き」などがあります。

抜き (ぬき) (=丸抜き)

 そばの実が丸抜きの状態のことです。 簡単に略されて、「抜き」と呼ばれます。

 そば殻は硬く、蕎麦の実は柔らかいので、脱穀するのは難しいです。 ですから、この作業はプロにお願いして、
 抜きで買った蕎麦の実を挽いています。

葱 (ネギ)

 蕎麦の薬味として、ほぼ全国的に使われている一品です。

 長(根深)ネギを薄く輪切りに刻みます。 水には晒しません。 ほぐしてあるので、ふんわりしています。
 お店によっては、白髪で切ったり、そんなバリエーションがあります。
 最後のそば湯を楽しむ時に浮かべる分は残しておきましょう!

延しべら (のしべら) ⇔ (切りべら) きりべら

 延した麺帯の厚みよりも包丁で切る幅が広いことを指します。 だから、断面が真四角ではない蕎麦です。
 粋じゃない!という意見もあるでしょうが、、、まあ好みですからねぇ。

喉ごし (のどごし)

 喉をそばが通るときの、ひっかかるようなざらつき感をあらわした言葉です。 うどんの喉こしとは異なります。

 うどんのようなつるりとした方が好みならば、十割蕎麦は美味しいと感じないでしょうねぇ。
 そういう方は小麦粉が沢山入った安価なそばを食べた方が気分も財布も幸せになれますから!それは間違いない!

 夏目漱石の「吾輩は猫である」に登場する迷亭先生によると、
 「そばは汁を三分の一だけつけ、一口に飲んでしまう。噛むと蕎麦の味がなくなる。つるつるとした喉を滑り込むところに
 価値がある」と。

 そばを飲み物ととらえている斬新さが、漱石文学の粋さなんだよね!

延ばし (のばし)

 くくりが済んで大きな団子状になったものを、のし板の上で打ち棒を使って均一に延ばし広げる作業です。
 この時に大事なのは、、、「俺流だろ君も!」という指導的立場の邪魔な人が傍に居ないことです。

 最初は、手の腹で縁を押し広げていきます。 最近は、達磨の高橋さんの蕎麦打ちDVDがNHKから発売されているから
 ここではこの後は、お互いの無駄を省くために、、、省略!

延びる (のびる)

 茹であがったそばのコシがなくなった状態のこと。 長さが変化するわけではないので、伸びると書くとまちがいです。

 夏目漱石の「我輩は猫である」の一節で「打ちたてはありがたいな。そばの延びたのと、人間の間が抜けたのは、、、」
 と、あるほど大人の世界では日常使われている言葉です。

 生そばをかけにすると、延びるのが早い、早い。 だから、それをどう美味く振舞うかがお店の技術だし、出されたそばを
 早く手繰るのが、食べる側の大人のマナーです。

海苔 (のり)

 海草の一種。 その昔浅草の海で取れた「浅草海苔」が有名になった時期もありました。
 冬の寒い時期に、岩場で育つ海苔、、、それを摘むのは辛いけど、海のミネラルに感謝をする古人の知恵です。

 蕎麦の薬味として用いられる。 炙って、細く切られて、蕎麦の上に盛られて、、、「ざる」の完成です。
 メインである蕎麦が盛られた「もり」を脇役である「海苔」が盛られただけで、「ざる」になるとは、、、
 私の「蕎麦の七不思議」の一つです。

は行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

泊 (はく、ばく、とまり)

 昔から蕎麦屋さんで使われてきた「隠語」です。 一夜を越すという意味で、前日仕込んだ材料を翌日使うことです。

 昔は客に気づかれないように処理するマイナス思考の言葉でしたが、最近は「一夜蕎麦」などがもてはやされる不思議な
 状況になっています。 「泊の蕎麦」がそのうち、蕎麦通の常識になるのかな?

花巻そば

 今風に表現すると、「海苔をトッピングした温かいかけそば」です。 名の由来は、材料の浅草海苔が「磯の花」と呼ばれて
 いたことによります。 炙った浅草海苔をトッピングして、黒光りする様子をまず目で楽しむ! 次にその香りを楽しみましょう。
 そんな世界なのです。

 薬味として山葵(すり山葵)を用いますが、葱は使いません。 どうしてか?と言われても、江戸時代からそうなのです。

 岩手県の花巻で作られはじめたから!なんて言ったら、皆から「ガセビア」の沼に沈められちゃいますよ!

半生かえし

 砂糖を煮溶かす分だけの醤油を加熱し、砂糖を溶かしたらこれを残りの生の醤油に加えて作ります。
 本かえしと生かえしの中間的な作り方です。

 本かえしと生かえしの良いとこ取りの製法と考えるか? 本かえしと生かえしの駄目なところを併せ持つ製法と考えるのか?
 中庸は民主主義では重要な戦略ですが、、、そばの世界ではどうなのでしょうねぇ?

 まあ、私の味覚はそれを議論できるほど、洗練されていないのは確かなのです。 だって、蕎麦掻マニアですからねぇ。

挽きぐるみ

 殻の付いたままの実(玄そば)を石臼で挽き、篩(ふるい)で殻などを取り除いた少し黒っぽい粉です。

 現在は、普通のお蕎麦やさんでは殻を取り去った「丸抜き」を購入して製粉する場合が多いです。
 つまり、お米でいうと、「玄米」を購入して、加工しているっていう状態です。 これは甘皮もろとも挽き込んだものなので、
 「全層粉」とも呼ばれます。

 本来は石臼の隙間を調整して、殻を取って丸抜きにするべきなのですが、ギャップの調整や割れた粉の仕分けが
 とても素人が出来るものではありません。 丸抜きの作業は、プロの業者にお任せするべきです。

 ということで、観天望気の場合には、「玄そば」を直接挽いてしまいます。
 メッシュが細かい(目の数が大きい)篩を使うと、殻は除去出来ますから、あまり口当たりを気にする必要はありません。

常陸秋そば (ひたちあきそば)

 そばの品種のひとつです。 旧金砂郷町の在来種から良形のものを選んで育成された品種で、昭和60年に茨城県の
 奨励品種(しょうれいひんしゅ)となり、各地で栽培されるようになりました。

 有名になるのは良いのですが、入手が困難なのは困りものです。 なにしろ金砂郷はそう広くはないですからね。
 全国に出荷、、、は不可能なのです。 普通の人は、他の土地で取れたそばを食べるしかないですねぇ。

 45kgあたり中国産は6〜7千円、北海道産で1万7千円、常陸秋そばは2万4千円くらいします。
 久慈郡の山間部でタバコの裏作として作られていますから、冷涼多湿の所謂「霧下蕎麦」として取れる量は微々たるものです。

 でも、製粉所からは大量に売られている現実もあります。 このカラクリって、どうなっているのかな???

風鈴

 親バカチャンリン、蕎麦屋の風鈴! そんな言い回しもかつてはありました。 どう言う意味だろぅ?

 江戸時代に、チンリンチンリンと街中を流して歩いた蕎麦屋の屋台の軒先には風鈴が付けてあったそうです。

 残念ながら、その時代に生きていない私にはその音色(ねいろ)の記憶がないのです。

 どうでしょうか! 音の世界にも、味覚を感じる昔の世界感。 蕎麦を食べる微妙な味覚の世界との通じるものを
 感じちゃいますねぇ。 鰹節の利いた汁で食べる細いそば。 厚く切られた蒲鉾、、、そんな世界が江戸の夜にはあったのです。

 本当は、冬でも風鈴を下げている間抜けさに失笑を覚えながら、親ばかとかけているのですが、、、そんな薀蓄より
 江戸古典落語のなかでの描写を楽しむのが、大人の世界だと思います。

舟 (ふね)

 包丁で切った蕎麦の束を保存するための蓋付きの木箱のことです。
 茹でる前の蕎麦を一時的に寝かせておくためのものですから、乾燥を防ぐ蕎麦の寝床です。

 切ったそばから、打ち粉を落として、綺麗に並べて入れます。 この時に、真っ直ぐに入れる人やひねりを加えて入れる人など、
 なかなか拘(こだわ)りの部分が出て、面白い場面を演出する為の脇役として「ふね」は欠かせません!
 でも最終目的は、如何に茹でる為に欲しい分量のおそばが取り易いか?という事ですから、、、自分の好きに入れて良いです!

 打ち粉を落とす! このパフォーマンスは「そば打ちの技」のレベルを示すには、非常にインパクトがあるのです。
 トントンとそばを上下させても、舞う打ち粉の中で弾力があり、切れることのない細麺、、、これぞ、「切り」の醍醐味ってものです。
 この段階で、プチプチ切れるようでは、、、「ふね」は必要ないですねぇ。

 寝かされている間に蕎麦と水分の融合が進み、完成された蕎麦になるのです。

必須アミノ酸

 アミノ酸のうち、ロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、バリン、ヒスチジン、トリプトファンの
 9種類を必須アミノ酸といいます。 これらは体内で合成できない、もしくは必要量を補えないため、外部(食品)から摂取しなければ
 ならないアミノ酸なのです。 必須アミノ酸のうち、何かが不足していると、その最も不足しているアミノ酸レベルに合わせられるます。
 つまり、どれもをバランス良く摂取していないと働かないというのが特徴です。

 リジンが多い蕎麦は、たんぱく質の利用度が90%と高く、米の76%、麦の46%と比べ非常にパワフルな食物なのです。

 必須は8種だと言う人も居るでしょうが、ヒスチジンは体内で作られますが、急速な発育をする幼児の食事に欠かせないことから、
 1985年からこれも必要なアミノ酸として加わるようになり、最近では合計9種類が必須アミノ酸と呼ばれています。

 メチオニンは強肝作用があります。 基礎体力を整えるスレオニンやシスチンも重要です。 普通の食物性食品に少ないはずの
 トリプトファンですが、蕎麦には例外的に多く含まれているのです。

 そばには、この必須アミノ酸が小麦粉よりも豊富に含まれています。 
 20種類のアミノ酸ですが、必須なのは9種類。 では残りはどうなるのか? そりゃ、もう燃焼して「熱」になります。
 だから、必須アミノ酸が少ない小麦粉で出来ている「うどん」を食べると体が温まります。 その反面、「そば」は体が温まり
 にくいのです。ですから、そば湯でお腹を温めましょうね。

 そんな理由から、風邪をひいたときには、「唐辛子入りうどん」を食べて、体を温めてから寝るようにしましょう!って、江戸時代には
 云われてました。

フラボノイド

 フラボノイドとは、植物に含まれる色素成分の総称でポリフェノールを分類した際の1つのカテゴリーです。
 ポリフェノールの中で最も重要な成分です。 大豆に含まれるイソフラボンや、ベリー系の果実に含まれるアントシアニン、
 お茶に含まれるカテキンなどもフラボノイドの一種です。  ポリフェノールの仲間なので、同様に強い抗酸化作用があります。

 活性酸素の攻撃から体を守ってくれる、、、赤ワインの話を聞いたことがあるでしょ!
 え、知らない? なら、図書館に行って、「あるある大辞典」を借りてきて読みましょう。 これを読んでいると、ボケません。

篩 (ふるい)

 石臼で挽いたそば粉を入れて前後左右にゆり動かし、粒の大小によって選択、分離するための道具です。

 大きな粒が篩の中に残り、小さなそば粉は下に落ちる道理です。

 買おうと思う貴方! 目の細かさの単位は、メッシュです。 1インチのなかにどのくらい網目があるかと言うことなので、
 数が多いほど目が細かいってことになります。

 私のように石臼で挽いて蕎麦掻で食べる人には不要?とお思いかも知れませんが、そば殻を取り除くためには
 必要なのです。 更には、細かさの異なる奴をブレンドするとなると、ということで我が家には、3種類の篩があるのです。

包丁下(ほうちょうした)は煮てはいけない

 包丁下とは「切ったすぐ後の」という意味です。 切ったあと、そばは30分ほど待ってから茹でるのが良いとされています。

 これは、切った直後のそばは鍋に入れても浮いてしまって、美味く茹で上がらないからです。

 でも、これはプロの世界の話ですから、ノンビリ打つ素人ならきっちり延ばしから、切り終わるまでにはそれなりの時間が掛かるし、
 湯が沸くまで時間がかかるので、どうでも良い諺って奴ですねぇ。

包丁三日、延し三月、木鉢三年

 蕎麦打ちの易しさと難しさを表現した教えです。 包丁は3日で習得できるほど簡単であるということ。
 延しには3か月が必要であり、木鉢(こね)となると、3年間もかかってしまいます。

 だから、素人衆は趣味の範疇で楽しむべきだと戒めているのでしょう。

本がえし (ほんがえし) ⇔ 生がえし

 醤油(しょうゆ)を加熱し、味醂、砂糖を加えて煮溶かし、冷暗所で熟成させます。 すこしとろっとしたまろやなか味になります。
 醤油に火がはいるので、香り成分が少し飛んでしまいます。 ですから、そうしたくない人は「生がえし」にするのです。

 冷凍食品を買ってきて、レンジで「チン」すれば良い時代に、何でここまでしなければならないのか理解できない。(若者代表!)
 マヨネーズ派の人には本返しは理解できないでしょうね。 全ては、若さの賜物(たまもの)です。 良いですねぇ、若いって!

 齢(よわい)を重ねると、動物性から植物性に味覚の嗜好が変わります。 若い頃は牛肉ですが、それが魚、山菜へ変化します。
 やはり私も日本人! DNAには、そのことが組み込まれているようです。 で、最後は植物性のものを体が欲するのです。

 大豆=醤油 米=みりん さとうきび=砂糖 本返しはきわめて植物性、そこにカツオという動物性を加えることにより、
 味の相乗効果になるのでしょうね。 あ、昆布のことも忘れないようにしなきゃいけません。

幌加内 (ほろかない)

 北海道のそばの産地です。 標高は150m程ですが、本州の高原地帯に似た気候で、霧に育まれた蕎麦は安定した品質です。
 広い農場で栽培されますので、量は沢山取れます。 国内の蕎麦の安定供給に、ここのそば粉はなくてはならない存在です。

本節 (ほんぶし)

 大き目のカツオの半身を、さらに背と腹に分けて作った節です。 小さなカツオから作られるのは、亀節です。

 「カツオ以外の魚から作った物ではない、本物の鰹節」という意味で、本節と呼ばれるようになったようです。

ま行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

丸抜き (まるぬき)

 玄そばの殻を除去した実のことです。 単に「ヌキ」とも言います。 表面は甘皮につつまれています。

 これを使ってロール挽きの場合には、実は柔らかいので中心部から砕けて粉になります。
 石臼で製粉する場合には、全部入った挽きぐるみや篩で仕分けた粉を取ることが出来ます。

水そば

 福島県山都町宮古地区には、十割そばの風味と喉越しを堪能するため、まず最初は水につけて食べるという「水そば」が
 伝わっています。

 飯豊連峰の湧き水が名水であり、地元のそばとの相性がよく、そばの甘みをよく引き出すのだそうです。

 ほんまかいな? 最初に食べるなら、水の切れた艶やかなそばを、何も浸けないで少したぐる方が私は好きです。
 この場合、味そのものより鼻に抜ける香りを楽しみたいですからねぇ。

 すごいですねぇ、水に浸かったそばを食べて、冷たいそばからそばの風味を堪能する、、、記事として、よく目にする内容
 なのですが、残念ながら私にはその味覚が理解できないのです。 こんな記事を書ける記者の味覚って、すごいと思います。
 もり汁の中の血圧を上げる塩分を気にしないで、そばを美味しく味わえるのですから、こんな人って長生きするのは間違いない!

 山都のそばは美味しいです! でも、残念ながら観天望気には水そばの魅力が理解できないのです。 修行が足らないのかな?

水回し

 木鉢(こね鉢)に入れたそば粉に適量の水を注ぎ、そば粉の粒子に水を均等になじませるように混ぜる作業のことです。
 この時にそば粉に混入される水の均一さが、味の決め手とされています。 ぱらぱらだったそば粉が次第に小さくまとまりはじめます。
 この作業をどの位うまくやるかに職人としての「愛情」を感じますねぇ。

 気温、湿度、そば粉の水分などにより、適量が微妙に違うので技が要求されます。
 後で足りなきゃ入れれば良いという世界ではないのです。

 でもねえ、後で少し水分を追加したくなったら、、、そば粉を水に溶いたものを練りこむことで、改善されることがあります。
 水だけ加えようとしても、駄目、駄目。 近いもの同士だから、交わってくれるのです。

味醂 (みりん)

 原材料はもち米、米麹、と焼酎です。 麹(こうじ)には日本酒と同様に黄麹カビが使われます。
 蒸したもち米と米麹を焼酎と混ぜて、約20度の温度で2〜3ヶ月ほど熟成させます。  この間に麹の作用でもち米のデンプンが
 糖分になり甘味が出ます。 またタンパク質がアミノ酸になって、 香りと複雑な旨みが生まれます。
 その後圧搾・濾過されて味醂として絞られます。 製品によってはこれをさらに数ヶ月から数年熟成させてから 出荷されます。

 味醂を加熱すると、含まれている糖分とアミノ酸が結合してメラノイジンという物質ができます。
  (これをアミノ・カルボニル反応と呼ぶのですが、だからどうした!という問題ではありません。)
 メラノイジンは褐色で、よい香りを持っています。 ミリンを使った料理が褐色になり、良い香りを持つのはこのためです。
 更には、糖分が素材の表面に膜をはるので、照り焼きにした時にツヤが出ます。 (なるほどねぇって、為になるでしょ!)

 ちょっと、高いですが本物を使うとそれなりに美味しいものが出来るのも納得出来ますねぇ。

 アルコール分は約14%。 糖分は40%〜50%。 各種アミノ酸、コハク酸など有機酸を豊富に含みます。

麺棒 (めんぼう)

 生地を延す為の棒です。 延しに使う物を「延し棒」、延した生地を巻き取る為の物を「巻き棒」と区別する場合もあります。

 太さは30mmくらいが普通ですが、自分の手になじむ事が大切です。 簡単に言うと、野球のバットと同じって事ですね。
 マメが出来るまでスィングする事を子供がすることを思えば、「マメ」が出来るほど、「蕎麦」を打つ! これってすごいなぁ。

 延す時のビミョーな麺棒の曲がりが気に食わない!などの意見を聞きますが、貴方の手に合わせるには自分で作るしかない
 のではないでしょうか? そば粉の水分量、加える力、、、現在の科学力をしてもその解析はまだ出来ていません。

 私のように「蕎麦掻」派には、この苦労は判りません。 職人さんだけが経験できる、お楽しみな世界がそこにあります。 

もり (もりそば) ⇔ ざる

 元祖は江戸時代のそば切りで、せいろに盛った冷たいそばを「もりそば」と呼んだことに起因しています。
 また、高く盛り上げるから「もり」と呼ばれたなどとの説も実しやかに囁かれています。 でも、私はその頃を知りません。

 今では盛られた蕎麦の上に海苔が乗っているのが「ざる」、乗っていないのが「もり」と呼んでいるお店が多いようです。

 蒸篭(せいろ)や笊(ざる)と云った器が、「そばの種類(区別の為に)」を意味する名前になったのは容易に理解できます。

 でも「もりそば」はどうして「もり」なのでしょう?
 調査の結果その答えは、江戸時代にありました。 その昔、最初「そば」は「そば」でした。 その後、汁をかけた「ぶっかけ」が
 ファーストフーズとしての地位を確保するようになって、昔の「汁をかけないそば」を区別しないといけなくなってしまいました。

 そこで、せいろやざるに盛っているのだから、「もり」にしろ!って誰かが言ったらしいのです。 多分貴方の祖先じゃないかな?

もり汁 ⇔ かけ汁

 そばのつけ汁に用いる濃い目の汁のことで、関東では「辛汁」「からむ汁」とも呼びます。

 蕎麦を食べ終わったあと、蕎麦湯で割ると鰹の風味が際立ちます。 ルチンが溶け込んだ蕎麦湯を美味しくしてくれる
 ためにあるもり汁って、100%活用できるのでエコな奴だと思います。

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焼き味噌 (やきみそ)

 焼き味噌とは、味噌にそばの実の抜きや削り節、葱を入れて、杓文字(しゃもじ)に塗って、直火で焼いたものです。
 焼けた味噌は、香ばしくて酒の摘みとして良い物です。 そこに蕎麦の実のかりっとした食感が加わると、、、、良いに決まってます。

 昔の人はこんなものをつまみにして酒を呑んでいたのですから、、、うらやましい! 
 私の場合、丸抜きが冷蔵庫にあるので、ちょっと作って食べちゃう生活が出来ます。 そんな私に焼きモチを焼く人もいるでしょうが、
 ここでの正解は、「焼き味噌」ですから!

焼き海苔

 浅草海苔の表面を炙(あぶ)ったものです。 焼くまで火を通すと、風味がなくなり、苦味が出ます。

 よく、浅草海苔の裏側を合わせて2枚で炙(あぶ)ると言われていますが、1枚なら表裏を炙っても良いです。

 そば前(お酒)を呑みながら、香りを楽しむことのできる酒の肴。 まあ、江戸時代ですから、浅草海苔を食べるって普通のことです。

薬味 (やくみ)

 蕎麦の魅力を引き出す為の脇役です。 葱(ねぎ)と山葵(わさび)、辛味大根が一般的です。

 粋人には、そばの香りを大事にするため、唐辛子を好む人もいます。 やげん堀の好きなあたしは、「粋」ってこと?

 まあ、趣味の範疇の話題です。 教科書には、蕎麦の味・香りを台無しにするので、香りや刺激の強いものは止めましょう!
 なんて、書かれています。 でも、山都の高遠(たかとう)そばは大根のおろし汁で食べますが、美味しかったぁ。
 大根のピリ辛がまた良いのですよ。 その反面、大根の汁は、「大切なもり汁を薄めるので許せん!」という人もいます。

 薬味で蕎麦に不足している栄養素をおぎなう。 そんな考え方もあります。
 天ぷらやきつねの「油揚げ」も、蕎麦に不足している栄養素をおぎなう為の昔の人の知恵です。
 今なら、「サプリメント」を呑むのが時代のトレンド!ですけれどね。

 七味(一味)
 唐辛子のカプサイシンとカロチンが血行を促進させ消化吸収を高めます。

 ネギ
 ネギ特有のアリインが蕎麦のビタミンB1の吸収を高め、疲労回復、冷え性などに効果があります。

 胡麻
 ゴマリグナンの活性酸素抑制の他にも、カルシウム、ビタミンB群、鉄が含まれ、骨、筋肉の強化の効果があります。

 ワサビ
 ワサビの辛味成分であるシニグリンには殺菌や食欲増進の他に、蕎麦に含まれるビタミンB2(細胞の活性化)の働きを高める
 作用があります。

 ではここで、食通クイズ!
 江戸時代に普通に使われていた薬味は何だったか?

 正解は、「ねぎ」「大根」「けずり節」「チンピ」「炙り味噌」「胡椒」の6つです。
 「山葵(わさび)」「海苔」はこの中には入っていません。

 今時の薬味(別に蕎麦用じゃなくてぇ)はこんなです。 辛味や甘み、口直し、はたまたビタミン補給など、嗜好の世界は奥が
 深いです。
 ネギ、あさつき、三ッ葉、みょうが、木の芽、キュウリ、パセリ
 生姜(しょうが)、にんにく、山葵、辛味大根
 胡麻(ゴマ)、けずり節、海苔(のり)、とろろ昆布、塩昆布、チリメンジャコ
 ゆず、すだち、カボス、レモン、紫蘇オイル (香り付けの為に皮や汁を使う場合もあります)
 漬物、梅干し、ザーサイ、佃煮、ハム、卵など、もう何でもありの世界です。

薬研堀 (やげんぼり)

 370年前に、両国の薬研堀(やげんぼり)で売り出された七味唐辛子は、江戸を代表する名物でしたが、今でも人気のある品物です。
 ピリっとした辛さと独特の香りが素敵です。
 最近のお蕎麦屋さんでは、独自にブレンドしてもらったやげん堀を置いていることがあります。

 最近、やげん堀の七味唐がらしは普通のスーパーでも買うことが出来ます。 買ってる私が云うのだから間違いなしです。
 そのラベルによると、名称:「七味唐辛子」 そのブレンドは、、、
 @唐辛子焼き粉、A赤粉 B麻の実 C黒胡麻 D青海苔 Eケシの実 F温州みかん陳皮
 最近表示は、量の多いものを前にしないといけませんから、この配合ってことです。 山椒がはいっていませんねぇ。

藪 (やぶ)

 1700年代に駒込団子坂で商売をしていた「蔦屋(つたや)」のことを、そばに竹藪があったことから、いつの間にか藪と呼ぶようになった。
 藪はそばが黒っぽいのが特徴。 それに汁が濃いのです。 ちょいとばかし汁をつけて、喉越しで風味を味わう江戸風な蕎麦なのです。

 出汁が濃いのは、かえしの比率が高いだけでなく、湯煎するので濃度が上がっているのです。

湯ごね (ゆごね)

 湯ごねとは、蕎麦を打つ過程において、まず蕎麦粉に熱湯をそそぐことにより、そば粉の中のでんぷん質を糊化して、つなぎに
 利用する方法です。

 斬新なやり方か?といえばそうではありません。 昔から東北の田舎では「湯ごね」で十割蕎麦を打ってました。
 「蕎麦掻」を作って、その粘りで他の蕎麦粉をまとめるのです。

 私の好きな山都のお蕎麦もこの方法で打たれています。 

柚子切りそば (ゆずきりそば)

 そば粉におろした柚子を混ぜ込んで打った変わりそばです。

 「ゆず」はみかんの約4倍ものビタミンCが含まれていて、肌荒れや冷え性に効果的なのです。
 寒い時期の昔の人の知恵ですが、そば本来の味を楽しむには???です。
 でも、そんな遊び心がわかるのが「粋」です。 やだねぇ、「粋」のわからなねぇ、奴は! と、談志が云ってました。

湯桶 (ゆとう)

 美味しいそば湯の為には必須アイテムです。 老舗では、そばをゆでた釜の湯(釜湯)を汲んで丸や四角い塗り物の
 湯桶に入れて出てきます。 漆で外は赤く、内側は黒く塗られているのが、昔から愛されてきた伝統品です。

 茹で釜の湯が濃くなるとそば粉が底に沈んで焦げてしまいます。 そうなったらもう最悪ですから、その前にお湯を代えたり、
 半分を捨てたりします。 そんな濃いそば湯ですから、何時でもある訳ではないのです。 チャンスに汲んだそば湯が
 冷めないように木製の湯桶が良いようです。 これも昔の人の知恵ですね。

 最近は、薄いそば湯をだす店や「ふじおか」のようにそば粉を入れてポタージュ状のそば湯を店もあります。
 変化を演出出来るので、これもお楽しみの範疇ってことだと思います。

 角湯桶は、口が正面についてなく、横のほうに突き出た格好になっています。 そこから、人が話をしている最中に
 横から口出しすることを「そば屋の湯桶」と呼ぶようになったそうです。

 国語の世界で、湯桶(ゆとう)読みというのがあります。
 これは、「ゆ」は「湯」を訓読みにしたもの、「とう」は「桶」を音読みにしたものであるところから、「湯桶」のように、漢字二字で
 できている熟語の上の字を訓で読み、下の字を音で読むことです。
 また、そういう読み方のことを言います。 「噺家(はなしか)」「手本(てほん)」「野宿(のじゆく)」「夕飯(ゆうはん)」の類。

夜鷹 (よたか)

 夜鷹と言えば、宮沢賢治さんの「双子の星」です。 まあ、そんな小学校の頃に習ったことは、ここではパスです。

 蕎麦における夜鷹に関する川柳(せんりゅう)の世界では「客2つ、つぶして夜鷹、3つ食い」というのがあります。

 この3つ食いは、実は蕎麦のことなのです。
 だって、ヨタカさんが出るような夜ですから、そこには夜鳴き蕎麦屋がいるってシチュエーションが出来上がっていますからからねぇ。

 川柳を解せない人は、これより先を読んではいけません。 ここでバイチャしてください。 その方が精神衛生上ベターです。

 その昔、ヨタカの料金が24文でした。 そして、客2つですから、24X2=48文です。

 一方、「ニ八そば」は、つなぎ二割、蕎麦粉八割の十六文、、、、またはお宝が、ニハチの十六文からという説も!

 まあ、そんなことはともかく、24X2=48=16X3は真理の世界であるのは、間違いない!

ら行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

ルチン

 そばには、ルチンというフラボノイド化合物が含まれています。 このルチンには、ビタミンCの吸収を助け、高血圧や
 動脈硬化の予防に有効であるとされています。

 しかしルチンは水溶性であるため、そばを茹でる時に成分がそば湯に3割(=30%)も溶け出してしまいます。
 そば湯が体に良いとされるのは、このためなのです。 昔の人は蕎麦湯のパワーを経験から、知っていたのですね。
 そばにはルチン以外にも必須アミノ酸などが豊富に含まれており、健康に良いのです。

 そんなルチンですが、単独よりもビタミンとともに摂取することで、より効果を発揮します。 ですから、蕎麦を食べるときに
 薬味として、大根おろしや葱(ネギ)と用いるのは生活の知恵としてもっともなことなのです。

 そんな魅力的なルチンを100%活用できる「蕎麦掻」って、、、誰にも文句は言わせな〜い! そう、観天望気は思います。

ロール製粉

 金属製の円筒を高速で回転させて、そのロールの間にそばの実を通して粉を挽く製粉法です。
 石臼がざらついた石臼の表面で擦り合わせて粉砕することに比べて、ロールの場合にはその金属の周上の一点で潰されるのです。

 とはいえ、2本のロールの回転数が6:4程度ずれているので、マクロにみるとすり合わせの成分もあることになります。
 何度か隙間をかえたロールを通すので、砕け易さに従って実の各層をそれぞれの粉に取り分けることができます。
 しかしながら、粉砕する時の圧力が高いので、粉が焼けてしまうという欠点があります。

 現在ではロールの内部が水冷式になっていて、粉が焼けないなどと書いている本がありますが、粉砕する瞬間にそば自体が
 発熱するのですから、ロール自体を冷ましても根本的な解決にはならないのです。

 学術的見地から言って、根本的な対策法は、ゆっくり蕎麦の実を潰す!です。 でも、そうすると、効率や経済効果がマイナスになって
 しまいますので、庶民の蕎麦好きな人が困ってしまう世の中になってしまうのです。

 この世紀末状態を救うには、私のように「My石臼」を持つしかありません。 無心な境地で石臼を挽いて、悟りの境地に至る!
 ここまでになると、この蕎麦用語集もだんだん悟りの境地に近づいてまいりました。 これまで、お付き合いしていただいた貴方!
 もうすぐ、大団円です。 もう少し、我慢してくださいね。

わ行  あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

山葵 (わさび)

 山葵はアブラナ科に属する半陰性植物で、南は九州から北は北海道にまで全国各地の山谷に自生しています。
 麺類の添え物として用いると食欲を増すだけでなく、魚毒を消すといわれており、昔から広く利用されています。

 それほど強力な山葵の解毒作用は山葵自身にとっても当然ながら害のある成分なのです。
 ですから、清らかな水が常に流れる環境でないと生きていけないのです。 と、「所さんの目がテン!」で、言ってました。

 ワサビは、金気(かなけ)を嫌う食材です。 ですからすりおろすときには鮫皮卸金を使います。
 洗うときは、たわしで汚れを落とし、流水ですすぎます。 陰干ししておき、大切にしまうのが正しい取り扱いなのです。

 美味しく食べる為のおろし方
 葉の付け根の方に砂糖を少し付けて、サメ皮のおろし具の目の細かい所で、ゆっくり円を描くようにすりおろします。

 おろしたてはあまり辛くありません。 細胞膜が破壊されて、酵素が働き始めだすにはちょっとの時間が必要です。
 目安は2〜3分です。 そう、ウルトラマンと一緒じゃないか。 そう思う私です。

 でも時間がたちすぎる(10分)と、風味も辛味もとんでしまいますから、食べる直前におろすのが良いですよ。

わさび芋

 蕎麦屋の伝統的な酒の肴です。 つくね芋(丸芋)をすりおろし、トッピングに山葵を添えたもの。

 蕎麦屋さんには「とろろそば」などのメニューがありますから、それを酒の肴にするのも納得の一品なのです。

割り粉も蕎麦のうち

 つなぎの小麦粉も、その品質や取り扱い方に、メインのそば粉に負けないくらい気を配る必要があるということ。

 揺れる大地に驚くが、動かぬ大地に何故驚かぬ! 勝海舟、海援隊、あるいは武田鉄也の言葉より!
 つまりは、そんな常識に埋没しない繊細な感性を何時も持つことが大事だと言うことです、と思います。
 
 隠し味と言う言葉があるように、少しだけ入れる物の方が人間の味覚に快感を与える効果が大きな場合があります。
 ですから、二割しか入れないし、そば粉の1/10の値段しかしない小麦粉ですが、、、大事なのです。

 強力粉、中力粉、はたまた、薄力粉、、、いろいろあります。 二八のそばにベストマッチングな小麦粉は、果たしてどっち!
 その産地にしても、、、、実に奥が深い世界なのです!

わんこそば (岩手県)

 赤い塗り物の器に、10〜15杯でせいろ一枚分のそばが入っていて「じゃんじゃん」掛け声を聞きながら、椀に放り込まれる
 そばを食べ続ける修行の場的そばです。
 そばを食べ終えて蓋をしないとお給仕さんが次々とお代わりを椀の中に継ぎ足してくれます。

 日本三大そばの一つです! そうなると、残りの2つが気になるなぁ。 (そう、思う人はネットで調べてね!)

 いやー、ここまでなると、
 「ん〜ん」、、、お後が、詰まってしまって、、、、チキトンテン、チントンシャン!  ってな、大団円しかありません。

■ まとめ って、ここが大団円!

 私の好きな蕎麦ですが、ど素人の観天望気には知らないことも多いのです。 それがどんなかな?と思うことを調べてここで紹介します。
 でもだんだん、悩みが少なくなるのは寂しいなぁ。 とはいえ、知れば知るほど、ますます悩みが広がる世界なのです。

 やはり、宇宙と同じで悩みの世界も膨張をし続けているのかな? 蕎麦から宇宙へと、ますます私のHPはスケールアップ!なのです。
 

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