■ 銀塩写真とデジタル写真論議 Part4 (大判写真編)
「大判写真」信者教というジャンルがあります。 その予備軍として、「中判写真」信者の群集がいるのです。
ここでのサイズの話題は、フィルムに関することです。 銀塩写真を語るにはこの話題は避けて通れない!
フィルムのサイズ論議の前に、大きな写真ってことについてちょっと考えてみました。
確かに、大判のフィルムを使い、大判印画紙に引き伸ばした写真には、人を引き付ける暗黒面の力(フォース)を感じます。
そのフォースの魅惑に魅入られた人は、間違いなく大判信者教の信者になります。
私も若い頃そんな世界に一時的に入信して、昼間から下宿の雨戸を閉めて、大写しの世界に没頭したものでした。
印画紙を壁に貼り、引き伸ばし機を使って目一杯拡大する、、、ありゃ、失敗だ!、、じゃあ、露光する時間を変えて、、、
そんな楽しい青春時代でした。 35mmフィルムだって、無理すりゃ大判の印画紙に出来るんです。
今みたいにパソコンで色んな加工が出来ない時代ですから、いろいろやってみて挫折して、再度チャレンジ!
で、青春の蹉跌!
その度に貴重な親からの仕送りが残り少なくなっていく! そんな失敗は食費へもろに響いてしまうけど、こればかりは、、
そんな魅力的な世界が、写真には確かにありました。今と違ってモノクロの世界でしたが、撮る写真は今より輝いていました。
そんなのはもう遥か昔のお話、想像出来ない貴方!普通です。 今や、パソコンのクリック一発で拡大が出来る時代!
苦労した話なんか聞いてもぴんと来ないよ!と、思う感覚がごく自然だと私も思います。
でもねぇ、そんな現在でも写真の世界では未だにアナログの大判の銀塩写真に拘っている人がいるのですよ。
しかしながら、ここで言う大判とは最後の引き伸ばしの話ではなくて、写真フィルムのサイズのことを指しています。
やっと、話題が本筋の方になってきましたねぇ。
スパイが愛用する8mmサイズは論外としても、一般人の愛用する35mmは駄目だね!と言い切る世界を愛する人々。
彼らはこよなく、サイズの大きな物を崇拝するのです。 大きなことは良い事だ!って、言いながらね。(古いなー!)
大昔こんなコマーシャルが一世を風靡しましたが、そのあと軽薄短小の時代が来ちゃいました!
そんなことすら忘れたかのように、今だに彼らはデジカメを不当に扱う傾向があります。どちらも道具なのですから、
そう身構えないで対処すれば良いだけだと思うのですけどねぇ。 じゃないですかねぇ、「N氏」さん。
銀塩は、画素数から言えば、XXXX万画素に相当するんだよ!と、得意げに言われてもねぇ。
私が若い頃、写真は面白い単なる道具でした。 繊細な表現をするなら、近づいて三脚を立てて静かに撮ってシャープ
さを如何に表現するか? どこからボケを入れるか考えたものでした。こういう時には、大判はとても強力な武器になる!
一方、大きく引き伸ばして表現するなら、繊細さは邪魔であり、わざと粒子を荒らして遠くから見たときのインパクトを
出したいと思ったものでした。 そんな時には、大判は必要ありません。
モデルさんの撮影会に行き、アップで撮影した写真に顔のニキビがくっきりと写っている、、、如何なものでしょうか?
今ならいくらでもパソコンで修正できますね。良い時代です。
大判で人物は撮らないよ! 大判で撮るのは、風景だよ! と、いう「N氏」! それは正しい意見だと思います。
でも、4x5、6x7というサイズのフィルムで撮影した風景は、ベタではその魅力の程は判りません。
だって、昔と違ってポジを印画紙の上に並べて露光する時代ではありません。
レーザースキャナーで、フィルム上をスキャンする時代です。許せない貴方は、ラボに割り増し金を払ってでも、手作業を
頼むべきです。 それが嫌でせっかく、撮影したポジを正しく使うのなら、ライトテーブルを使って自分の世界を楽しむか、
全紙サイズに引き伸ばして部屋に飾って楽しむべきです。
間違っても、半紙サイズにしてはいけません。 半紙程度だと、デジカメとあまり画質に差がありませんから! 残念!
ましてや、せっかくのサイズなのですから、HPごときで掲載するなんてことをしてはいけません。
モニターの1000ドットでは貴方の繊細な風景写真は「相手の胸には響かない!」 貴方の住む世界は、ここではない。
ここはひとつぐっと将来の個展のために我慢をして備えましょう。 きっと未来には、ばら色の人生が待っていますから。
1000ドットといえば、200万画素のデジカメでもオーバースペックです。 こんな世界で作品を紹介してはもったい話です。
「N氏」の作品のレベルが高いのは認めます。 ですから、ここはひとつHPでの公開をひかえて、おとなしくまた貴方の
時代が来るまで、待っていてください。 百年、河清を待っていれば、そのうち香港みたいになることもありますから!
■ まとめ
大判を使って表現したくなるような風景に是非遭遇したいものです。 そういうチャンスに遭遇するのはめったにない
でしょうね。たぶん! でも、そのチャンスに遭遇したらな、バシャバシャ、シャッターを押すでしょう。
問題はそういうチャンスをものにするために、常日頃から大判のカメラと貴重なフィルムを持ち歩くか?と言うことです。
私の場合、ポジフィルムは冷蔵庫で保管しているのですが、結露しないような配慮を要求されます。
大判カメラの愛好者は高価なフィルムを湯水のごとく使って、バンバン大判に引き伸ばす! そんな優雅な趣味の持ち主だと、
いうことになりますね。
私のように、今有る機材で何とかして撮影するという世界とは、異次元の大判フィルムの世界がそこにはあるようです。
私の場合、暗黒面のフォースの力にまだ支配されていないようです。 貧乏人バリヤーの効果かな?

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