■ 便利グッズ ナイフ
近くのホームセンターに行くと、名人「佐治武士」氏作のナイフを売っていました。 氏は越前武生の鍛冶3代目です。
20本程の種類が売られていますが、ブレイド(刃)の長いものが半分以上で、普段持ち歩くことが出来る60mm以下の
ものは、半分以下しかありませんでした。 (銃刀法で、60mm以上を公共の場には持ち込むことは出来ません。)
小さな奴でちょっと良いな!と思うと、20000円です。 安いと思うか、高いと思うかは人によって違うでしょうね。
ナイフを知らない人には危険なものとしか思えないかもしれませんが、山歩きを趣味とする私には非常に興味のある
対象なのです。
ナイフ好きな人は自分で作ることも出来ます。さすがに焼き入れはプロに依頼するのですが、好きな形の物を作ることが
できるので、人気があるようです。 私は作ったことはありませんけどね。
で、残念ながら今回佐治氏のナイフは買いませんでした。 既に2本のナイフを持っているので、これ以上買っても使う
場がないように思えたのです。
Myナイフの1本目は刃の材質が比較的柔らかい物です。
砥ぐとすぐに切れるようになるのですが、使っていると、切れなくなるのも早いです。 こいつは真ん中から2つに折れる
(フォールディング)タイプのナイフです。 比較的ブレイドの厚さが薄いので、料理に使うには使い良いのです。
価格は5000円でした。普段使うには、こちらの方が向いています。 すぐに砥げて切れ味が回復してくれますからね。
Myナイフの2本目は刃の材質がメチャ硬い物です。で、ちゃんと砥ぐと切れ味は良く、その状態が長く続きます。
ところが、砥ぐのがメチャ大変なのです。刃の材質はハイス鋼という代物です。 ブレイドの模様はダマスカスという積層に
よるものです。 ブレイドの長さは、58mm。 セーフ! グリップは鹿の角です。
でも、この模様の凸凹は料理にはちょっと不向きだと思います。 価格は、15000円でした。
粉末ハイス鋼はとても魅力的な素材なのですが、なかなか扱いが難しいです。
この2本を使い分けているので、さらにもう1本!という気にはならないのです。
本来ナイフの刃には硬さと粘りという、あい矛盾する性能が要求されます。
日本刀は、心金と周りの材質を変えることで実現しているのですが、ナイフでこれをやると高くなってしまいます。
安い奴は均一な材質ですが、ハイス鋼の方は心金と周りが異なる材質のものです。
ナイフなんて何に使うの!という意見が聞こえてくる気がしますが、我が家ではダンボールの切断や牛乳パックの
切り開きなど結構使っています。 自分で砥いで、切れ味の判っているナイフだと力加減が判ります。
無理に力を入れて、危険なことになるなんてことはありません。
キャンプにナイフはいらないという意見の人もいるでしょう。そんなの無くても困らない!との話を聞く事もあります。
確かに、私も「ナイフのおかげで命拾いした!」なんていう経験はありません。
でもたとえ使わないかも知れないですが、私はナイフを持って行きます。 ラーメンのスープの袋を開けるのに使っても
良いし、ソーセージの袋を切っても良いのです。 大切なのは、どんな場で使えるのかを考えるということです。
だって、使ってこそ意味があるものですからね。
3本目なんて、要らないと言っていた私ですが、山に持っていくなら納得した一本を持ちたいと思い、佐治さんの作品を購入
しました。 作品名は、「ほたる」です。 佐治武士氏の2003年6月末発表のものです。
白紙全鋼の本焼きで鍛造された、和式ナイフと洋式ナイフを組み合わせた、佐治さんの意欲作。
一般的な和式刃物のように、軟鉄と鋼を鍛接して造るのではなく、鋼の一枚物を鍛造、土おきして焼き入れた本焼きの
ナイフです。 全て鋼で作っていますので、刃先部分には焼きが入っていますが、峯の方には焼きが入らないように、
焼土を厚く塗りって焼き入れしています。
ステンレスの洋式ナイフと違い、炭素鋼ですので錆びますが切れ味はすごくいいです。
ハンドルにはアイアンウッドを使用、牛革ケースがついた、まさに和洋折衷の作品です。
■ まとめ
2本目のナイフのダマスカス模様は見た目は良いのですが、切るという実用面で考えると、良くありません。
でこぼこがあると、汚れが拭き取りにくくて、、、屋外での利用にはちょっとねぇ。
3本目の白紙のブレードは柔らかめですが、どんどん使って、どんどん砥いでという私の使い方には、「ほたる」が一番優れものだと
思っています。
ここで実用上の経験をご紹介しましょう!
私の大好きなカニを食べる時にはナイフで使って殻を切り裂くことにしています。
粉末ハイス鋼は硬いのですが、、、カニの殻で刃こぼれしてしまいました。 もちろん大きな傷ではないのですが、小さな傷でも
紙を切るなどの用途ではとても気になる存在なのです。
小さな傷を砥ぐにも苦労する粉末ハイス鋼は私にはちょっと厳しい素材ってことですねぇ。
その反面、白紙のブレードはカニの殻を切っても刃こぼれはしませんでした。 ですから、満足、満足。
こうしてやっぱ道具は実際に使う用途で確かめることの重要性を再認識しました。 そんな、うぶな私なのです。
そんな白紙にも錆び易いという欠点はあります。 道具ですから、、、道具ですもん!
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