■ 幕営賛歌 (古い奴だとお思いでしょうが、、、)
幕営(ばくえい)、、ちょっと古い言葉ですが、その昔、戦のときの陣地に幕を張るところから、テント泊のことを幕営と呼んでいます。
辞書によりますと、ばく‐えい【幕営】 [名](スル) 1 幕を張りめぐらした陣営。 2 テントを張って野営すること。
最近のテントは設営が楽ですが、昔のテントは本当に張るという言葉がピッタシの代物でした。
厚地は布製で、夜露に濡れると水分を吸って本当に重くなったし、設営するのもかなりのノウハウが必要でした。
四方にロープを使って、それでもって家の形にするのですからね。
ですから、マニュアルを読まなくてもその知識を知っていて、テキパキ作業が出来る先輩はそりゃもう大事にされた良き時代
だったのです。
でも、今や一人でも5分もあれば自分用のテントを張れる時代!となりました。 これなら不器用な私にも出来る!
アルミのフレームで支えてくれる構造なので、無風や微風程度なら、フライを貼るためのペグを4本地面に打ち込むだけで、快適な
テント泊が出来るのです。 と、いうことで不器用な私も幕営生活をはじめたのです。
(撤収は難しいのですが、設営は比較的簡単です。 畳まれている物を広げるだけですからねぇ。)
雨が降っていても、ザックからテントのパーツを取り出して、ここまで(下の写真)完成させれば、あとはフライを上に載せて、、、
荷物を中に入れて、、、ほぼ完成!
インナーの四ヶ所にある紐は、地面にインナーを固定する為のものですが、、、私は使ったことがありません。
キャンプ場に行くと、マニュアル通りに紐を全部張っているテントを良く見かけます。 でも、その先がペグではなくて、小石に巻き付け
られていたりするのです。 本来はテントが飛ばされないための紐ですから、小石をアンカーにするのは意味のないことなのです。
どうせやるなら、ペグをしっかり地面に打ち込んで、夜中に鉄砲水がテントを襲っても流されないくらいにすべきです。
見て判るように、インナーは船底のようになっていて、雨水が流れ込むことはありません。(でも、船としての使用はお勧めできません)
実は設営には雨よりも強風の方が問題なんです! 空のテントが飛ばされないようにするのが大変だけど、、、そんな場所でテントを
張ることは尾瀬では想定外の世界です。
手抜きな私の場合、この後はフライを上にかぶせて、フライを固定するためのペグを4本地面に刺せば、こんな形になります。
実際のとこ、フライを外側に引っ張るのは、雨による泥汚れがインナーに付くことを防止する為ではなく外界とインナーとの間に
空気の隙間を作るためです。 (これにより、二重構造による断熱効果が生まれるのです。)
外側にあるフライは外界からの雨水をシャットアウトするための物です。 ですから、フライは水分だけでなく、空気も通しません。
(これだけだと、息苦しい!) フライには撥水スプレーを塗布して、雨を速やかに受け流す、、、それが今の流行ですから!
でも水分をシャットアウトすると、寒い時期だと自分の吐いた息の中の水分がフライの内側に結露しますが、これは、どうしょうも
ありません。
その一方、インナーは水分も通しますが、空気を通すのが目的の代物です。 (ですから、中で寝ていても窒息しません。)
ですから、使って残っていてもインナーに防水スプレーをかけては、駄目ですよー。
このフライとインナーの2重の薄い幕のお陰で、オールシーズンにおいてテントの中は快適な環境が維持出来るのです。
ちゃんと隙間を作っておかないと、空気を通さないフライのせいでテントの中で窒息する状態になるのです。
実際には、テントにはベンチレートという穴が開いているので死ぬ危険は回避できますが、このくらいのことは
テント生活をエンジョイするには、知っとかないとね!
では、そろそろお楽しみをご紹介!
いざ初めてみると、テントの設営、美味しい食事、ワインを飲みながら静かな夜の物思い、心地良い眠り、鳥のさえずりでの目覚め、
その後テントの撤収、、、と、まるで遊牧民のような生活には幕営というこの言葉がぴったりだと思います。
ソフトハウスの基本は、テントと羽毛の寝袋です。 これだけあれば後は自分好みのアイテムをザックに入れるだけです。
荷物を背負い適度な負荷を体に与えて、空腹になれば何でも美味しく、疲れているので少しの酒でほろ酔い気分
(高地で気圧が低いと酔い易い!)、疲れりゃごろりと寝る!、早く寝るので、早く起きる! 話は簡単です。
お天道様と一緒に行動するのが、幕営の基本なのです。
で、幕営でどんな生活をするのかと言うと、
私は基本的に単独行なので、生活に必要な全てのアイテムを
持って行動する必要があります。
テント、シュラフ、ザック、食料、水(ワイン)、カメラといった必需品の
重量は、10kgを超えます。
マットなど、ハーフでなく全身サイズを使っているのは、快適さを求める
私のこだわりです。
そんなせいで、小学生の低学年を背負って歩くような状態になって
います。
昔はもっと重かったぞ!と言う山屋の方もいるでしょうが、都会の
生活で鈍った身体にはこれでも結構こたえます。
最近の道具は軽量化が図られているのと、ザックの性能向上(荷重を
腰で受けられます)で、以前より快適な山歩きが出来るのです。
ストックがあれば、それを使って、立ったまま休憩することも出来ます。
ザックを下ろすより楽ですから。
道具の使い方を工夫することで、山の生活は楽になります。
このザックの中には、緊急時にも対応できる私のノウハウの全てが
詰まっているのです。
私の場合、幕営を始めたきっかけは尾瀬へ行こう、と思ったことでした。
調べているうちに、尾瀬の魅力にとりつかれ、簡単な幕営道具一式をそろえて
しまいました。
そのうち道具も次第に豪華になり、今や二人用のテントに一人で、、、
羽毛のシュラフで、、、という、高級ホテルなみの優雅な生活をエンジョイしています。
ところで、そんな私の趣味ですが、それは私が見たことのないような「風景写真」を撮ることです。
風景を撮影するには、朝と晩の太陽光線や霧、雲、空、湖、樹木などそれぞれのバランス(チャンス)が大切です。
自然が見せるバランスはとても見事です。ほんの1分違うだけで全く違う景色になります。
朝になれば暗いうちから鳥が騒ぎだします。薄いテントは、それらの行動を寝ている私に伝えてくれます。
早く寝た私には、目覚まし時計など必要ありません。 自然の全てが時計であり、一日が動き出そうとしています。
ですから、そんな時に私のペースで撮影を可能にしてくれる幕営生活は、私にとって貴重な憩いの場なのです。
こんなことを書くと、幕営が大変そうに思うかもしれませんが、それが全くの逆なのです。 幕営が出来れば、いろんな
意味で無理をしなくてすみます。
私の場合、山に行こうと決めるのは、天候を考慮して旅立ちの直前になってからです。そんな時に幕営が出来ると、
行動計画の立案、変更が容易に出来ます。山小屋の空き具合や予約、変更、キャンセルの手続きなど悩む必要ありません。
実際問題として、そんなことより体力の衰えつつある私にとって一番ありがたいのは、自分の体調により、現地で好きに
スケジュールを変える事が出来るということです。歩いてみて調子が悪ければ、それに合わせて変更すれば良いのです。
混雑を避けて、自分のペースで移動することが出来るのも良いですねぇ。
ここどこ? 上高地の蝶が岳の頂上です。 頭上には暗雲がたちこめているのですが、お日様も元気に輝いています。
この先の天気を予想しながら! そう、観天望気の世界で、自分の世界が進んでいくのです。全て、自己責任ですから!
雲と同じ目線での生活。雲なのか霧なのか? 今日の君はどっちなの? もちろん、幕営ではなくて、山小屋でも
同じ景色を楽しむことが出来ます。 でも、寝ながら見ることの出来る満天の星はテント泊ならではの楽しみでしょうね。
特にこういう尾根での幕営の場合、雨が降った後の深夜の晴天! こりゃ本当に降るような星!というのがピッタシな
世界がそこにあります。 写真好きな私には、こんな生活がとても魅力的に感じるのです。
そんな幕営生活ならではの素敵な体験をしてきました。例えば山で出会う人は何故かとても親切です。
「やあ!また会いましたね!」という、貴重な経験もしました。(ここ蝶ヶ岳の山頂でもね!)
名前も知らない人なのですが、彼のテントを見れば、なつかしい思い出がそこにはあります。
そんな素敵な山登りやテント生活などの雰囲気を感じて欲しくて、私の活動記録を画像でご紹介します。
想像してみてください!
目的地に着くと重かった荷を降ろして、テントを設営して、トレッキングに必要な道具だけを持って気楽に出かける。
全て、マイペース、全て、自分の責任で楽しむことが出来ます。
気ぜわしく木道を歩いて帰ろうとしている日帰り客を後目に、ザックに入れたストーブでお湯を沸かして、インスタントの
味噌汁を飲む!それだけで、お握りが素敵なランチに変わります。
そんな事書いていながら。下の写真は話が違う? 中華三昧と赤ワイン? ましてや、傘の下、、、そう、山ではこの位の
予想外の結末は普通です。 雨の中で歩くと、木道が滑るので危険です。ですから、テントの中でワインを飲んで、
体を暖めて、天候の回復を待つのです。 このくらいの幕営生活における方向転換は、お楽しみの一つにしかすぎません。
こんなお昼を食べた後には、人の居ない静かな午後の尾瀬のお散歩と夕焼けを満喫するお楽しみが待ってます。
更には、人生とは何かを考えるには十分すぎるほど長い夜もね!
とまあ、魅力を語ると限りがないのですが、次の新たな出会いを楽しみにしている私です。
■ まとめ
体に適度な負担をかけて、心地よい眠りができます。 疲れが残っても、ストレスは溜まりません。
テントを担いで、野に出れば自分も自然の一員だと感じることができますよ!
これだけの装備を担げば、ソフトハウスのオーナーになれるのです!! あとは貴方のちょっとした好奇心(勇気)と決断力!
これが最近の私のザックです。 こんなのを公開すると、私の正体がばれちゃうかな。 では、皆さんとどこかでお会いしましょう!
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