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■ 石臼奮闘記 その17  (粗いそば粉への挑戦)

 私の石臼でそばの実の丸抜きを挽き、60目の篩を使うと約90%のそば粉が取れます。
 一回挽いただけでこの結果ですので、篩に残った粉を二度挽きなどしてもあまり意味がありません。
 というのも、篩の中に残ったものはそのほとんどがそばの皮なのでそれを粉にはできないのです。
 (出来たとしても、食べないですけどね。)

 最近、40目の篩も購入したので、そば粉の分類を更に出来るようになりました。
 40目の篩を使うと粗く挽ききれなかった物が約3%ほど取れます。

 で、下に落ちた粉を更に60目の篩でふるうと、7%の粗い粉が篩の上に残ります。
 この7%のものが、目の粗いそば粉ということになります。

 でも、実際にそれを見ると、固いざらざらした砂粒のようで、とてもそば粉とは言えない代物です。この粒子は、再び石臼で
 挽いてもほとんど挽けません。 粗挽きの世界はなかなか奥が深いようです。

 そんなこんなで、一応そば粉を作るということからすると、現在の状況で良いことになるのですが、次なる目標は、粗い
 均一なそば粉(粗挽き粉)を挽くことです。

 蕎麦掻マニア?な私ですが、目の粗いそば粉と細かいそば粉のブレンド品で蕎麦掻を作りたいと思っています。

 と言うことで、「粗挽き粉」への挑戦がスタートしました。

 単純に考えれば、石臼の隙間を広くすれば粗い粉になるはずです。
 昔の石臼なら、心棒の高さを変えてこの隙間の調整が出来るのですが、私の臼では心棒の高さを変えることが出来ません。
 (心棒は細くて、更に接着されていています。)

 隙間を空ける一番簡単な方法は、臼と臼との間にスペーサー(シム)を入れることです。つまりCDのような円盤を心棒に
 刺して上臼を持ち上げようというのです。話としては簡単なのですが、10kgほどある上臼の荷重を小さなスペーサーで
 受けて、石臼の外周の隙間を均一にすることは、そう容易なことではありません。

 金属のスペーサが強度的には有利ですが、金属紛の入ったそば粉は嫌です。
 まだ、石の入っている方がましなような気がします。(それも、嫌ですけどね)
 従って、金属スペーサーと滑り易いプラスチックの薄いスペーサを組み合わせるのが良いようです。調べた事例の
 なかでは、薄紙を入れるなんてのもありました。
 耐久性が心配ですが、紙が石臼と一体となって、回ってくれれば紙は摩耗はしません。
 紙質さえ適当なら、良い方法かもしれません。問題は、石と紙と金属との間の摩擦係数です。

 隙間を空けると書きましたが、その量は1mm以下の世界です。ミクロンってことです。
 そこに紙幣2〜3枚の分の隙間を空けて、尚且つ石臼を回すのですから、隙間を均一にするなど、到底不可能なことです。
 ある程度の状態で満足するしかないようです。 ある程度の大きさの異なるそば粉を挽いて、篩でランク分けをおこなう。
 古くからあるこの手法が利に適っているようです。

 ここで、避けては通れない課題があります。
 それは、私の使っている篩(ふるい)がどれ程のもんじゃい!ということです。
 それを知らずに、目が粗いとか細かいとかの比較をしても、ナンセンスですからね。

 私が購入したのは、網が真鍮(しんちゅう)製のものです。その網目は40目と60目の篩です。
 60目の場合、一寸に60本のワイヤがあることになります。
 ワイヤーのピッチは、30.3/60=0.505mm、つまり、500ミクロンです。

 *実際の物は???*
 60目の篩をルーペで覗くと、このワイヤの太さは約100ミクロンです。
 ついでに「目開き」と呼ばれる粉が通過する部分の寸法は、約400ミクロンでした。
 

 60目で取れる粉もけっこう目の粗い粉がも混じっているな!と思ってしまいます。
 実際のそば粉は100ミクロン以下のものもかなりあるのでしょうが、蕎麦掻きにするなら、それ以上の詮索は無用です。

 具体的な方向へ、検討はまだまだ続きます

 理想は上に書いたように、金属+プラスチックです。ですが、理想を追求するのも疲れます。
 仕方がない、ここは理想より現実を!ということで、金属だけに致しましょう。
 とはいえ、やはり軟らかい金属では、削れてしまいます。
 ですから、ステンレス(SUS)と呼ばれる材質の物で作ることにいたします。
 これなら、石の方が削れます。(硬いってことは、加工が大変だ!とも言えるのですけどね)
 金属の表面が滑らかな鏡面なら、薄紙を入れると紙は臼と一緒に回るので、紙の粉が出ることはないのではと、考えます。
 こりゃ、良いかも!

 私の臼は直径が200mmであり、臼としては小さいものです。その心棒の部分に入れるのですから、小さなものでは
 バランスが悪く、まともに挽くことは出来ません。上臼には蕎麦により持ち上げようとする力が働き、重心がこのスペーサ
 から外れると満足に回すことも出来なくなります。常に大きな蕎麦の実には大きな力が働いて、つぶれてくれないと
 いけません。

 物入れの部分などもあるので、入れるスペーサーの直径は45mm程度が適当だと思います。
 この辺はセンスの問題であり、ほどほどのサイズにしてみました。
 (特に根拠はありません。駄目なら、改良すれば良いだけです。)

 サイズが決まればあとは、必要な厚さです。臼の場合、ふくみと呼ばれる隙間があります。
 上の臼がわずかですが、凹レンズのようになっているのです。
 ですから、中央部にいれるスペーサは、この凹みの分+外側の隙間の厚さが必要となります。
 はたして私の臼の場合、この凹レンズ部の寸法は???

 日本の臼ならこの凹みの部分は、挽く穀物の一個分の大きさと言われています。
 でも、中国製のものはこの凹みの部分が極わずかしかありません。でも、あるものはある!

 現物がそこにあるのですから、厚さの判っている板を入れてみてどのくらい臼が浮くのか?
 調べれば凹みの量は判ります。目的とするそば粉のサイズが、百数十ミクロンオーダーなので、100ミクロン(0.1mm)
 も違えば大問題なのです。

 ですから、0.8と1mmの板厚のスペーサは見た目大差ないように思いますが、実はまるで違う代物です。
 自分の臼にあったスペーサは貴重品ということになります。
 とはいえ、多少の修正は石臼を削ることで対応できます。ということで、目標より少しだけ厚いスペーサーが理想とする
 ものということになります。

 私の臼の場合、中央部に0.5mm厚の板を入れると、縁の部分が紙幣2枚分持ちあがります。
 紙幣の厚さは、0.1から0.15mm程度ですので、0.2から0.3mmの隙間ということが判明しました。
 なかなか、良い感じの隙間じゃあ〜りませんか。
 ちょっと、広い気もしますが、篩で分別して、更に細かくも出来るので、この程度が理想かもしれません。
 粗挽きのそば粉を作る頻度は低いので、なかなか研究することが出来ないと思いますが、いろいろ試しながら世界で
 一つしかない石臼とスペーサーに仕上げようと思っています。

  

 理想を言えば、そばの実の中心の軟らかい部分が砕けて、300ミクロンの大きさのそば粉が出てくる、、、そんな状態が
 良いですね。目が粗いといっても、固い部分が砂のように出てくるようでは、そんなそば粉は食べたくありません。

 ところで、市販の粗挽き粉とはどんなものでしょう。最近は、粗挽き粉でそばを打つ人が増えたのか製粉所で粗挽きの
 そば粉として、売っています。 (一般的に粗挽き粉で蕎麦を打つのはまとまり難いので難しいといわれています。)
 蕎麦を打つ技術が高くなると、難易度の高いものをやりたくなりますから、人気があるのかもしれません。

 蕎麦打ちの巧い知人によれば、1.2kgのそば粉に一握りの粗挽き粉(30メッシュ)を入れると、食感が良くなるのだ
 そうです。 30メッシュなら、蕎麦の粒々がまだ残っています。見た目にも楽しめる一品になります。

 喉越し!とは、そばが喉に引っかかる感じをいうそうですから、多少ざらついた蕎麦の方が蕎麦通には好まれるようです。
 (私は不調法ですから、、、まだまだ修行の身です。)

 いやー、そば道の世界もなかなか難しいものです。

■ まとめ

 私も粗挽きのそば粉の方が蕎麦掻向きだと思っています。 そう、ここは誰にも文句を言わせない世界なのです。
 

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